米兵裁判権の一部放棄、米側に伝達 外交文書公表で判明

2011/8/26付
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日本に駐留する米兵らによる公務外の犯罪について、日本政府が1953年10月、重要な事件を除いて裁判権を行使しない方針を米政府に伝達していたことが26日、明らかになった。外務省が同日公表した日米行政協定改定交渉の資料で、関連文書が見つかった。同協定で日本側に認められた裁判権の一部放棄につながるもので、日米間の密約に当たるとの指摘も出ている。

53年に改定された行政協定では、駐留米兵による公務外の犯罪への裁判権を日本側に認めている。行政協定は60年から現行の日米地位協定に引き継がれたが、公務外の犯罪を巡っては、やはり日本側に裁判権を認める規定になっている。

今回公表された文書は、53年10月28日の日米合同委員会刑事部会の議事録。日本側代表が政府の方針として「日本にとって実質的に重要と考えられる事件以外は、米兵らに対する第1次裁判権を行使しない」と述べた、と記されている。

文書公表に先立ち、日米両政府は25日、この問題を巡って日米合同委員会を開いた。米側は席上、53年の日本側代表の発言は「日本当局による一方的な政策的発言」だったと指摘。日本側も「同じ理解」であると応じた。同年の発言は日本側の方針の表明にすぎないとして、日米の取り決めではないとの認識を確認した格好だ。

52年に結ばれた当初の旧行政協定では、米兵のすべての犯罪の裁判権は米側にあった。米側は協定の改定交渉が始まった53年春当初は、駐留米兵の裁判権を完全に放棄するよう日本に要請した。ところが、日本側が重要な事件を除き、米国の裁判権を認める方針を示したことなどを米側が評価。協定改定議定書の署名、発効にこぎつけた。

53年10月の日米合同委員会刑事部会の議事録は、日本の研究者が2008年に米国立公文書館で見つけた。だが、外務省や法務省は「該当する文書はない」として存在を認めていなかった。政府は今回、米側から資料の提供を受け、議事録の存在を初めて公式に認めた。

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