2019年7月24日(水)

企業年金に新制度検討 会社と社員が運用リスク分担

2014/7/26付
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厚生労働省は25日、公的年金に上乗せする企業年金で新たな制度をつくる検討に入った。企業が一定の給付額を約束する確定給付年金と、社員自らの運用で給付額が変わる確定拠出年金の中間型を想定。給付額は運用成績しだいで変わるものの最低限の金額は企業が保証する制度を審議会で議論する。企業が払う掛け金の非課税措置を認めるかどうか、税制改正の行方が焦点になりそうだ。

主な企業年金の制度
確定給付年金検討する
ハイブリッド型
(イメージ)
確定拠出年金
掛け金負担企業企業。社員の追加拠出も企業。社員の追加拠出も可能
運用方法の決定労使労使個々の社員
受取額企業が一定額を約束運用成績しだいだが、企業が最低額を保証運用成績しだい
年金資産全員分をまとめて管理社員ごとに区分社員ごとに区分
運用損が出たら企業が補填して一定額を保証企業が補填。社員の負担も検討社員の受取額が減る

厚労省は同日の企業年金部会に検討課題を示した。新しい制度のほか、企業の事務負担を軽くしたり、転職者の年金資産を持ち運びやすくしたりすることを提案し、労使代表や学者で構成する委員が大筋で了承した。2015年の通常国会で関連法の改正を目指す。

今の企業年金は企業か社員のどちらかが運用損失が出たときの負担を丸ごと抱えている。確定給付型では企業がお金を出して穴埋めする。企業は市場の動き次第で負担が発生するリスクがある。

一方、確定拠出型では損失の分だけ給付額が減る。運用を大きく誤ると老後の生活設計が狂うリスクがあるため、普及しない理由になっていた。

どちらの制度を導入するにしろ、企業か社員かに負担が偏るため、企業年金の加入者は約1600万人で会社員の4割程度にとどまっている。

そこで企業年金部会では米国など海外の制度も参考にして、確定給付型と確定拠出型を組み合わせた「ハイブリッド型」を検討する。労使が共同で運用して、運用成績しだいで支給額は変わるものの、最低保証額はあらかじめ決めておく案を想定する。運用損失が出た場合、社員の受取額は減るが、損失が広がった場合、企業の負担で最低額は保証する。運用の損失リスクを社員と企業が分かち合う仕組みだ。

日本でも企業によっては自発的にこうした年金を導入している。厚労省がこれを年金制度として新たに位置づけて、企業が出す掛け金の損金算入が認められれば、税負担が大幅に減り、企業にとっては導入する利点が高まることになる。

焦点はこの税制改正が実現するかどうかだ。厚労省は今夏の税制改正要望にもこうした制度改正を前提とした要求を盛り込む方針だ。年末にかけて制度設計を詰めながら、財務省と議論するが、財務省は新たな税制優遇をつくることには慎重な立場をとりそうだ。

政府が保険料を集める公的年金は、少子高齢化による年金財政の悪化で今後支給額が減っていく見込みだ。高齢者が十分な年金を受け取り、豊かな老後を過ごせるようにするには、公的年金に上乗せする企業年金の普及が欠かせない。

 ▼企業年金 民間企業が運営する年金制度。日本の年金は3階建てになっており、月6万円余りを加入者に支給する基礎年金が1階、収入に比例する厚生年金が2階、企業年金はこうした公的年金に上乗せする3階部分にあたる。
 企業年金には、企業が決まった金額の支給を約束する確定給付年金のほか、運用しだいで一人ひとりの受取額が変わる確定拠出年金がある。2階部分と3階部分を一体で運用する厚生年金基金も企業年金の1つだが、運用難による解散が相次いでいる。

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