2019年2月16日(土)

要の日米、対立解けず TPP閣僚会合閉幕

2014/2/26 2:00
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【シンガポール=矢沢俊樹、羽田野主】貿易と投資の自由化をめざす環太平洋経済連携協定(TPP)の閣僚会合は25日、大枠合意を実現できないまま閉幕した。昨年末に続く2度目の交渉物別れ。要の日米が関税分野で対立し、新興国を含む全体交渉も停滞した。4月下旬のオバマ大統領のアジア歴訪をにらみ仕切り直しとなるが、TPP交渉は停滞感が強まっている。

■誤算の連鎖

TPP閣僚会合を終え、記者会見する(左から)甘利TPP相、フロマン米通商代表ら(25日、シンガポール)=共同

TPP閣僚会合を終え、記者会見する(左から)甘利TPP相、フロマン米通商代表ら(25日、シンガポール)=共同

25日開いた閣僚会合後の共同記者会見。当初午後5時に開く見通しだったが、暗礁に乗り上げた閣僚交渉が早々と打ち切りとなり、2時間以上前倒しになった。「交渉は前進した」。開催国のシンガポールのリム・フンキャン通産相は強調したが、居並ぶ各国閣僚の表情は厳しかった。

今回の交渉は誤算が重なった。「大枠合意にこぎ着けたい」。交渉前、米政府高官は強い意欲を示した。米国はベトナムなどが反発する国有企業改革で譲り、まずは貿易ルール作りで大枠合意。その後に日米を軸とする関税交渉をまとめる2段階シナリオを練った。

もくろみは外れた。「(関税などの)市場アクセスは貿易協定の核心。これ抜きに合意に至れない」(グローサー・ニュージーランド貿易相)。新興国からも「関税抜きの合意はありえない」との声が上がった。経済大国の日米両国の関税協議の着地を見極めるまでは、各国も妥協のカードを切ろうとしなかった。

日本も交渉を甘くみていたフシがある。「重要農産品5項目のうち、コメ、麦、砂糖の3つは米国と握れているはず」。日本政府内ではこうした楽観的な見方があった。

例えば、コメと麦は日本政府が毎年一定量買い入れている。買い入れ枠を増やせば米国も納得するとの見立てだった。ところが、フロマン米通商代表部(USTR)代表は甘利明経済財政・再生相との2度の会談で、ほぼすべての農業関税をなくすよう求める従来の姿勢を崩さなかった。

「フロマン氏との会談を通じて議論が深まった。TPP交渉全体は70~80%のところには来ている」。甘利氏は25日の記者会見でこう総括したが、関税交渉は最後の20~30%が難所。そこを進める感触を得られないまま閣僚会合は終わった。

■先行き混沌

新興国との交渉進展をあてこんで日本に強硬姿勢に出た米国。農産品関税を巡る米国の軟化を期待して、あてが外れた日本。要となる日米両国の誤算は、交渉全体の停滞を決定づけた。

「もはや妥結の期限は重要な問題ではなくなった」。マレーシアのムスタパ通産相は25日の会合後、日本経済新聞などの取材でこう話した。関税を巡る日米協議の膠着を背景に早期妥結の機運が低下しており、時間をかけて自国の立場を主張しやすくなったためだ。

交渉の先行きは混沌としている。米政府は4月のオバマ米大統領の訪日前の妥結を「最優先課題」(米国務省高官)と指摘。フロマン氏も「日米双方の溝を埋める」と柔軟姿勢に傾きつつある。

西村康稔内閣府副大臣は25日夜の民放番組で「5月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)の会合までが(大筋合意の)一つの目安になる」と述べたが、11月の米議会選挙が近づくほどTPP反対勢力は勢いづく。

同日夜、甘利氏から電話で報告を受けた安倍晋三首相は「お疲れさまでした」と労をねぎらった。4月の米大統領来日を控え、首相が前面に立つ場面も出てきそうだ。

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