集団訴訟制度の法案見送り 経団連や在日米国商工会議所が要請
経団連や在日米国商工会議所など日米欧の7経済団体は25日、政府に対し、消費者被害をまとめて救済する新しい集団訴訟制度を慎重に検討するよう求める緊急提言を発表した。企業活動や日本経済に悪影響が出るとして、今国会に関連法案を提出しないよう要請した。国内外の経済団体が団結して、個別の政策に異論を唱える提言をまとめるのは異例だ。
政府が検討中の新制度は多数の消費者が少額の被害を受けた場合に、国の認定を受けた特定適格消費者団体が代表して集団訴訟を起こし、個人の泣き寝入りを防ぐ仕組み。不当な契約や誇大広告などが対象で、勝訴すれば該当する消費者に参加を呼びかけ、被害額を一括して企業に賠償請求する。
これに対し7団体は「消費者被害を救う制度の重要性は理解する」としつつも、検討中の案について「乱訴などの弊害への懸念は払拭されていない」と指摘。「救済対象になる消費者の範囲を明確にすべきだ」「ルールの施行前に締結した契約による被害は対象にすべきではない」といった考えを強調した。
さらに「日本経済の再生にマイナスの影響を及ぼす恐れがある」とも訴えた。7団体は1人当たりの賠償が少額の訴訟でも、対象の消費者が多数に上れば企業の負担が巨額になる点を懸念する。企業がこれに備えて資金の積み立てや投資の手控えを強いられれば、経済を冷やすとみている。
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