倒壊家屋や壊れた車は撤去可能 がれき処理で政府指針
政府の被災者生活支援特別対策本部(本部長・松本龍防災担当相)は25日、東日本大震災の津波災害で発生したがれきの処理に関する指針をまとめ、関係各県に通知した。倒壊したり、敷地から流出したりした家屋、明らかに壊れた自動車や船舶などは財産価値がない「無価物」として、撤去は可能と示した。
家屋については、倒壊したものや本来の敷地から流出したものは所有者への連絡や承諾がなくても「撤去して差し支えない」と明示。敷地内で原形をとどめており、所有者に連絡が取れない場合や倒壊の危険性がある場合も専門家が「価値がない」と判断すれば解体・撤去が可能とした。
自動車や船舶は「効用をなさない状態にある」場合は撤去し、仮置き場に移動。所有者が引き渡しを求めれば引き渡し、それ以外の場合は自動車なら自動車リサイクル法に従って処理し、船舶なら廃棄するとした。まだ使用できる自動車や船舶は仮置き場に移動して所有者が求めれば引き渡すとし、求められない場合や所有者が分からない場合の扱いは留保した。
位牌(いはい)やアルバムなど個人にとって価値があると思われるものは一律に廃棄せず、保管して所有者に引き渡す機会を設けるよう求めた。
被災地では大量のがれきが物資の運搬や復旧作業の妨げになっているが、地元自治体から「所有権との関係で強制的に廃棄していいものかどうか判断に困る」との声が出ていた。法務省や環境省などで協議した結果、現行法の枠組みの中で対応できると判断。岩手、宮城、福島など7県に通知した。近くさらに具体的なマニュアルも設ける。