年金の世代間格差、厚労省が内閣府の試算に反論

2012/4/24付
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厚生労働省は24日、年金の給付と負担の世代間格差を巡る内閣府の試算に反論した。50歳代半ば以下の世代で支払いが多くなるとの試算に対し、前提となる指標などに関する疑問点を列挙。年金の財政方式についても現行の仕組みの意義を訴えた。年金制度の改革を求める声が相次いでいるのに対抗した形だが、現状を肯定するだけの路線には批判も目立つ。

試算は1月に内閣府の経済社会総合研究所が発表した。国民年金や厚生年金などの公的年金をもらえる額から支払った額を差し引いた生涯収支を世代間で比較。1955年生まれ(57歳)世代以上で収支がプラスになる半面、それ以下の世代で収支がマイナスになり、若い世代ほど不利になる結果となった。

厚労省は24日に開かれた社会保障審議会(厚労相の諮問機関)年金部会で「現役世代の生活水準の向上などの要素も世代間の比較では考慮すべきだ」と強調。試算に用いた保険料や受取額を現在の価値に引き戻す際の指標にも疑問を示した。

現役世代が高齢者を支える現行の「賦課方式」を「物価を反映した年金が支給できる」と評価する一方、積み立てたお金を自ら受け取る「積み立て方式」に関しては「インフレなどへの対応が難しい」と主張。700兆円もの積立金が必要になることも問題点に挙げた。「積み立て方式なら格差が是正できる」とみる学者などの意見に反論するため、財政方式も年金部会の議論に加えた形だ。

政府が進める税と社会保障の一体改革は世代間や世代内での公平の確保を理念に掲げるが、高齢者世代の負担増や年金給付の抑制には踏み込み不足との批判が根強い。

24日の部会でも一部の委員から「世代間格差は存在する。現役世代がどの程度負担すればいいのか、政府ははっきり明示すべきだ」と迫る声が上がった。世代間の不公平感の解消を進めないと、年金制度への不信感が一層膨らむ可能性がある。

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