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規制 岩盤を崩す 保育所足りない ママたちの一揆

第3回

保育所が足りない。杉並、足立、大田。東京都内各所で、ママたちが異議申し立てのために区役所に押し寄せる。「ママ一揆」だ。

待機児童はいつゼロになるのか

戸籍抜いてでも

3月、大田区への一揆に加わった荒川浩美さん(30)に聞いた。子ども2人のうち下の娘を保育所に預けようと申し込んだが、一次選考で落選。これでは仕事に復帰できない。区の担当者に相談したが、投げかけられた言葉に耳を疑った。

「仕事に戻れないなら、お兄ちゃんが通う保育所は強制退園です。親が働いていることが条件ですから」

母親たちは「我が子を認可保育所に入れて」と強く求める。認可保育所とは定員、保育士の数、面積。国の細かな基準を満たす施設のことだ。

就活、婚活ならぬ保活(ホカツ)。交流サイトでは認可保育所に入るための保活情報であふれる。「母親が戸籍を抜くと、ひとり親になるので入りやすい」「そんなの都市伝説でしょ」

認可保育所は国から運営費の補助が手厚く、保育料が安い。大田区の遠藤奈保子さん(41)の場合、認可なら月5万円のはずだった。都が独自で基準をつくった認証保育所は倍の月10万円。ほかの認可外だと、もっと高いところもある。

「認可外は子どもをたくさん詰め込む」との声も聞く。でも認可保育所はなかなか増えない。都内では国の基準を満たす広さの土地は確保しにくい。猪瀬直樹都知事も怒っている。「北海道と東京が同じ面積。厚生労働省は基準を相変わらず変えていない」

育児支援のNPO法人、フローレンスの駒崎弘樹代表理事は「認可か認可外かにこだわらず、預け先を増やすのが先」と話す。条件や設備は認可に少し見劣りするが、預けてもいい。そんな手軽で安全、快適な認可外を増やせないか。国が自治体の独自認証への補助を増やし、ほかの認可外もしっかり指導すればいい。

壁になるのが「認可信仰」。田村憲久厚労相は「国がお金を出す認可のほうが自治体もお得」と冷たい。自民党は幼児教育の無償化を掲げたが、想定は幼稚園や認可保育所。「認可外はまともな教育なんてしてない」と話す議員もいる。

民間企業の活力も生かし切れていない。政府は今月、待機児童の解消策を詰める子ども・子育て会議を始める。顔ぶれは保護者や保育所、自治体の関係者ら。保育の最大手企業、JPホールディングスの山口洋社長は「民間企業には声がかからなかった」と明かす。

「横浜市の奇跡」

横浜市の奇跡――。全国最多だった待機児童が解消しつつある。独自認証を含めた認可外の活用や民間業者の参入を進めてきた。使われない保育所の有効活用にも力を入れる。

「前は3人の子を別々の保育所に送迎していた。今はすごく楽」。福島令子さん(36)は市独自の「送迎保育」を使う。出勤前に近くの保育所に預けると、空きがある別の保育所に送る。バスの乗車時間は最長1時間を想定。「なにもそこまで」との声も聞こえてきそうだが、国が頼りにならないなら、なりふりを構っていられない。

少子化が止まらぬニッポン。子どもを増やそうにも国が「認可しない」。そう突き放しているのと同じなんじゃないか――。

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