2019年7月17日(水)

東電、いびつな収益構造 家庭向け利益出しやすく

2012/5/23付
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経済産業省は23日に開いた東京電力の値上げ問題を話し合う「電気料金審査専門委員会」(委員長・安念潤司中大教授)で、電力各社の収益状況に関する資料を提示した。それによると2006~10年度の平均で、東電は電気事業の利益の91%を家庭や中小商店向けの「規制部門」で稼いだ。規制の段階的な見直しを背景に、いびつな構造も浮かび上がった。

家庭向けなど規制部門に関しては電力会社が独占的に電力を供給する一方、値上げには経産相の認可が必要。ただ、料金は燃料費や人件費などの原価に利潤を上乗せした「総括原価方式」で決められ、電力会社の都合で利益を出しやすい。

規制部門はコストに占める設備投資や修繕の費用の比率が高く、大企業向けより料金が割高になる傾向がある。経産省によると、1キロワット時の料金は家庭向けが23.34円と、企業向けの15.04円より5割超も高い。

先行して料金が自由に決められるようになった企業向けは、燃料費の比重が高い。このため原子力発電所の停止で燃料費が膨らむと、企業部門の収益への打撃は大きい。東電は07年の新潟県中越沖地震で柏崎刈羽原発の全号機が停止し、稼働率の低下を招いた。昨年3月の東日本大震災の前から、火力発電への振り替えに伴う燃料費の膨張は懸案だっていた。

こうした東電側の事情には批判的な声も目立つ。23日の会合で八田達夫学習院大教授は「大企業向け料金は、燃料費が上がっても長期契約で価格を固定しているのではないか」と語った。

東電管内は大口需要家に電気を小売りする新電力の参入が相次ぎ「自由化部門」は値下げの圧力が働きやすい。経産省の専門委員会は14年以降を視野に、家庭向け料金の規制もなくす方向で大筋合意した。電力各社は家庭向けでも激しい競争にさらされる見通しで、収益基盤には不透明感が強まっている。

特に原発が再稼働しなければ、東電の収益は一段と厳しさを増す見通しだ。一方で福島第1原発の廃炉への費用を巡り安念委員長は「原価に含めるには理屈が必要」と指摘。阿南久全国消費者団体連絡会事務局長は「将来の値上げ申請に事故処理費用なども含めるつもりではないか」と不信感を示した。

東電が7月をめどにしている家庭向けの値上げには6月の公聴会などの手続きが続く。情報を小出しにするように映る東電の姿勢に厳しい声が広がる可能性もある。

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