基幹産業育てる先端的な基礎研究が必要 経済財政白書

2013/7/23付
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第2次安倍晋三政権で初めてとなった2013年度の経済財政白書は、日本企業の競争力と経済基盤も分析した。08年のリーマン・ショック後は海外進出した企業ほど国内雇用を減らしたことから、将来の基幹産業を育てる先端的な基礎研究が必要と指摘。非正規社員の増加が職業訓練の機会を減らし、人材育成を難しくしていることに警鐘を鳴らした。

雇用を巡る日本企業の行動はリーマン・ショックを境に大きく変わった。国内拠点を縮小し海外拠点を増設・維持する企業の割合はリーマン前の6.1%からリーマン後は10.4%に拡大。リーマン後は海外に進出した企業ほど、未進出の企業よりも本社や営業、生産拠点で多くの人員を削減した。国内拠点が競争力を失ってきたといえる。

競争力の源泉となる人材では、非正規雇用が増えて人材育成の機会が少なくなることを問題視した。正社員の転職者が非正規になる比率は4割程度まで拡大。20代の従業員を対象に仕事を離れた研修を見ると、正社員の受講時間は非正規社員の3倍になる。「非正規雇用になることで、人的資本形成にマイナスとなる恐れがある」とした。

企業の競争力強化は「アベノミクス」の柱の一つだ。政府は今夏をめどに、集中して規制緩和や税制優遇をする「国家戦略特区」を選定する。白書では解雇規制の緩和を進めたドイツの事例などを紹介し、「規制緩和などを通じて、潜在的な需要を掘り起こす余地は十分ある」と強調した。

経済基盤としてはICT(情報通信技術)や金融、電力など企業が活動する土壌ともいえるインフラに着目。ICTは「人材が不足気味で、成長のボトルネックが生じかねない」と指摘した。金融については公的信用保証による高い保証率が「銀行間の競争を通じたイノベーションや資源配分の効率化の機会を失わせる」として、縮小すべきとの考えをにじませた。

社会インフラは企業の競争力を高める投資効率の高い空港や港湾に集中投資する。電力は人口が減ると配電の費用がかさむ。「地域ごとの街づくりと連携して費用上昇を回避する必要がある」ととした。一方で原子力発電所の稼働に伴うエネルギーコストの比較など、政権がこれから直面する最も大きな課題には触れなかった。

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