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輸出伸びず、貿易赤字定着へ アジアとの貿易黒字が大幅縮小

為替相場は円安が続いているのに、輸出が伸びない。財務省が21日発表した貿易統計によると、2013年度の輸出数量は前年度に比べて0.6%増とほぼ横ばい。アジアと欧州連合(EU)、米国向け輸出が前年に届かなかった。輸出が伸び悩む背景には生産の海外移転や日本製品の競争力が落ちた面があり、貿易赤字は当面定着しそうだ。

円の対ドル相場は前年に比べ21%安くなった。従来ならドル建ての輸出品価格を値下げする企業行動が反映され、輸出は増える。だが、13年度は輸出から輸入を差し引く貿易収支が13兆7488億円の赤字。統計を比較できる1979年以降で最も大きな赤字だった。

円安で輸入する原材料の価格が膨らみ、輸入額が17.3%増。輸出額も10.8%増えたが、輸入の方が大きく、貿易赤字額は69%も増えた。

直近の貿易黒字だった10年度と地域別の収支を比べると、アジアとの貿易黒字が縮小している。アジアとの貿易収支は13年度に8758億円の黒字。10年度は9兆8256億円の黒字で、わずか3年で9兆円近い貿易黒字がなくなった。生産の空洞化が進んだことと、日本企業がアジア企業との競争に遅れたという構造変化がうかがえる。

13年度はアジアからの自動車部品の輸入が38.8%増の5432億円だった。全体から見れば小さいが、10年度に比べると7割も増えた。世界的に見れば競争力のある日系の自動車メーカーですら、アジアの部品メーカーからの調達を進めている。アジア向けの部品輸出が8.0%増にとどまったのとは対照的だ。

スマートフォンを含む通信機のアジアからの輸入は前年度より24.5%増。米アップルや韓国のサムスン電子の製品は日本でも人気だ。経済産業省の統計によると日本の情報通信機械は半分弱が輸入品になった。通信機は13年度に2兆2千億円の貿易赤字。日本企業が競争に敗れ、製品を輸入する形になったことが貿易赤字の拡大につながっている。

足元の動きを示す3月の貿易収支は1兆4462億円の赤字だ。季節調整値で見た輸出額は前月比2.7%減り、アジア経済が減速している影響もみられる。ただ消費増税を受けて今後、輸入はブレーキがかかるため、月ごとの貿易赤字は4月からは少なくなりそうだ。

多くの民間調査機関は14年度の貿易収支は10兆円規模の赤字との見方を強めている。「生産の海外移転や高齢化で国内の供給力は細り、10年代に貿易黒字になるのは難しい」(ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎経済調査室長)。日本は貿易赤字を前提にした経済政策の立案を迫られている。

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