2019年3月26日(火)

経済財政白書の要旨

(1/3ページ)
2010/7/23付
保存
共有
印刷
その他

第1章 着実に持ち直す日本経済

【公共投資の減少は景気の腰を折らない】 日本経済は2009年春から持ち直しを続けている。企業部門では輸出の増加に支えられ、生産や収益が改善している。家計部門をみても所得面で底堅い動きが出てきており、個人消費や住宅投資が持ち直している。公共投資の減少が見込まれるが、民間需要が安定的な伸びを示せば、景気の腰を折る可能性は低い。

景気の持ち直しは輸出や経済対策にけん引された面が強く、民需中心の自律回復には至っていない。今後の焦点は設備投資が回復に向かうかどうかだ。環境は整ってきたが、稼働率の水準は依然として低い。先行きは楽観できない。09年の完全失業率は5.1%で、需要不足が2ポイント程度の押し上げ要因になった。

10年度予算には子ども手当の支給や高校の実質無償化など、家計を支援する政策が含まれている。10年度の可処分所得を前年度より1.4兆円押し上げる要因になる。

【需要喚起とデフレ予想の払しょくが重要】 現在のデフレ局面をみると、00年代初頭に比べ物価の下落が急速だ。09年の1年間で値下がり品目の割合が30%程度から60%台半ばに上昇した。消費者の低価格志向が定着したことがうかがわれる。物価下落の直接の要因は、リーマン・ショック後の大幅な需給ギャップの拡大と期待物価上昇率の低下だ。デフレは設備投資の抑制や耐久消費財の購入先延ばしといった影響を与えた。

リーマン・ショック後は各国とも需給ギャップが拡大したが、デフレに陥ったのは日本だけだ。その背景としてバブル崩壊後の調整が長引き、過去20年程度にわたって慢性的な需要不足が続いたことが指摘できる。このなかで低い期待物価上昇率が定着し、デフレ脱却が困難になったと考えられる。製造業が新興国との価格競争を余儀なくされたため、労働コストの低下圧力が物価の基調を弱めた点もあろう。

金融政策の面ではデフレ脱却の方針を明確化したうえで、機動的な対応をとってきている。政府と日銀が引き続き一体となり、政策努力を重ねることが重要だ。

【緩やかでも持続的な財政再建の取り組みを】 リーマン・ショック後の厳しい景気後退を受けて、各国とも財政が悪化している。日本では構造要因も加わって財政赤字が拡大した。国内総生産(GDP)に対する債務残高の比率を抑え込むには、基礎的財政収支を改善することが必要だが、歳入が不安定で容易ではない。日本は過去20年にわたって財政の持続可能性を失っており、堅実な財政収支の改善努力が求められる。

財政赤字の拡大は長期金利を上昇させる傾向がある。日本の長期金利は低めで、財政の悪化が大きな押し上げ要因になっていない。経常収支の黒字国では財政要因が長期金利に与える影響は小さいが、今後の高齢化の進展を踏まえると楽観はできない。財政再建成功のカギは穏やかでも持続させることにある。歳出の削減と歳入構造のぜい弱性の克服が求められる。

  • 1
  • 2
  • 3
  • 次へ

春割実施中!無料期間中の解約OK!
日経電子版が5月末まで無料!

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報