菅首相「消費増税2、3年かかる」 低所得者対策が前提
納税者番号制度の導入など課題に
菅直人首相は21日、首相官邸で先の通常国会の閉幕を受けて記者会見した。消費税率引き上げに関して、食料品などの軽減税率や給付付き税額控除など低所得者対策を前提とする考えを表明。実施時期に関しては「少なくともこれから2年、3年あるいはもう少しかかる」と語った。7月11日投開票の参院選後に、超党派による協議を呼び掛ける考えも示した。
首相は消費増税までの課題として、低所得者ほど負担が増す逆進性の緩和策の必要性に触れて(1)軽減税率(2)減税と現金給付を組み合わせた「給付付き税額控除」――の導入を挙げた。
軽減税率の適用をめぐっては、小売業者などが商品の仕入れ段階で交わす請求書に消費税額を明示するインボイス(税額明記の伝票)方式に言及。給付付き税額控除では、世帯所得の正確な把握に向けて「(税金と社会保障を一元管理する)共通番号制度の導入が必要になる」と語った。
同時に「それを最終的に設計し、実現するまでには2年とか3年が必要になる」と指摘。「参院選が終わった段階から本格的な形で議論をスタートさせたい。(参院選の)公約ととらえて結構だ」とも強調した。
首相は「大きな税制改革をやるときには、まとまった段階で国民に判断する機会を持ってもらうのは必要だ」と述べ、制度改正の前に衆院解散・総選挙で信を問う考えを改めて表明した。
国民新党が消費税率の引き上げを増税すれば連立政権を離脱する構えを見せていることに関しては「選挙での主張が異なることと政権離脱は若干の違いがある」と述べた。
沖縄の米軍普天間基地の移設をめぐっては、地元の理解を得るため検討の期限を先送りする可能性を示唆した。日米が代替施設の工法などの決定を8月末までとした点について「ここで決めたら問答無用ということは考えていない」と語った。
25日からカナダで開く主要国(G8)首脳会議、20カ国・地域(G20)首脳会合をめぐっては「最大の課題は財政再建だ。成長と財政再建を両立させるやり方があり、日本はその道をとろうとしていると表明したい」と強調した。
米国のオバマ大統領、中国の胡錦濤国家主席、ロシアのメドベージェフ大統領と個別に会談する意向も明らかにした。