2018年5月27日(日)

原子力新機関、実効性は未知数 米仏も推進・規制両立苦慮

2012/4/21付
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 政府案と自公案は、原発の安全性維持にあたる原子力規制機関を経産省から独立させるという基本的な方向性は一致する。東電福島第1原発の事故対応が推進機関と規制機関が同じ官庁に同居する日本の原発安全行政の欠点を露呈したとの認識を共有しているからだ。だが、両案が想定する新機関がどの程度の実効性を上げるかは未知数だ。米仏など原発先進国も、政府内の推進機関や事業者との間合いの取り方は難しく、手探りが続いている。

 現行の原子力安全・保安院は原子力推進を掲げる経産省の傘下にある。こうした仕組みが日本の原子力安全行政をゆがめていると、国際原子力機関はかねて問題視してきた。政府の事故調査・検証委員会もこの点を事故原因のひとつと位置付け「不当な影響を及ぼす可能性のある組織からの分離」を掲げ、経産省からの独立を求めた。

 政府案と自公案ともに新たに発足させる規制機関は経産省から完全に独立させる。ただ新組織は保安院や原子力安全委員会、文部科学省の一部など、原子力安全を担っている現行の行政組織を寄せ集める。新組織の実行部隊は現行の組織からそのまま横滑りするとみられる。原発の許認可など安全・規制行政をめぐって出身母体の異なるグループで主導権争いが起きれば、独立性を保てるか疑問視する見方もある。

 電力の8割近くを原子力でまかなう原発大国のフランスは2006年、政府から独立した原子力安全委員会を設置。当初は経済・財政・産業省の傘下にあった機関を分離した。ラコスト委員長は「政府が我々に命令することは禁じられている」と独立性を強調する。米国は政府の独立機関、原子力規制委員会が推進側のエネルギー省とは完全分離されており、原子力規制・安全に関する監督業務を一手に引き受ける。だが、意思決定に業界の意向が反映しているとの批判が絶えない。

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