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関電の原発、すべて停止 供給「危機的に」

今夏25%不足の恐れ

(更新)
原発全11基の発電が停止し、出力「0」の表示が並ぶ関西電力中央給電指令所の掲示板(20日午後11時3分、大阪市内)

関西電力は20日深夜、高浜原子力発電所3号機(福井県高浜町、出力87万キロワット)の定期検査のため発電を止めた。関電の原発11基すべてが停止し、関西の電力供給は火力発電所のフル稼働と他社からの電力購入に頼る「危機的状況」(八木誠社長)を迎える。原発再稼働に向けては地元の同意が必要だが、野田政権は消費増税の実現に全力を挙げており、この問題を枝野幸男経済産業相らに委ねているのが現状だ。

「節電や平年並みの気温で需給は安定しているが、寒波や設備のトラブルがあれば逼迫しかねない」。八木社長は同日の記者会見で懸念を示した。今夏には猛暑時に最大25%の電力不足もあるとの試算を提示。「できるだけ早く(原発を)再稼働したい」と述べた。

稼働中の原発は全国で2基となり、現状では4月末までに全54基が停止する。政府のエネルギー・環境会議が昨年7月にまとめた予測では「原発ゼロ」の場合、沖縄県を除く全国で今夏に9.2%の供給不足が生じる。

福井議会が焦点

枝野経産相は1月27日の記者会見で、再稼働がないケースでも「(節電を強制する)電力使用制限令によらずに乗り切ることについて十分な可能性がある」と述べた。しかし、具体的な需給計画を示しているわけではなく、裏付けに乏しい。

再稼働の行方を左右するのが地元議会の意向だ。再稼働に向けストレステスト(耐性調査)を実施した大飯原発3、4号機がある福井県の議会は24日に開会する。「3月16日までの議会で同意を得なければ、大飯原発の今夏までの再稼働は難しい」との見方は多い。

福井県は「ストレステストだけでは再稼働の条件は不十分」とし、福島原発事故の教訓を踏まえた「新たな安全基準」を示すよう政府に求めている。背景には、再稼働という重大な判断は自治体首長には荷が重いとの本音が垣間見える。

 「新たな安全基準を示す時期は4月に原子力規制庁が発足してからになるだろう」。原子力安全・保安院は20日、県議会が終了する来月16日には間に合わないとの認識を示した。

3号機の定期検査で全基が停止する関西電力の高浜原発(20日、福井県高浜町)

国の原子力安全委員会の班目春樹委員長も20日、ストレステストについて「(一定規模の災害への余裕度を調べる)1次評価だけでは、安全委が求めている安全確認としては不十分」との見解を示した。

再稼働は「あくまで政府の判断」としつつ、すべての原発を対象に安全性の限界を探る2次評価も求めた格好だ。早期に地元の理解を得るには、政治の強い決意に基づく説明が必要な情勢になりつつある。

野田政権で再稼働問題を手掛ける「電力改革及び東京電力に関する閣僚会合」。議論は枝野経産相や民主党の仙谷由人政調会長代行が主導する。大飯再稼働を目指す方針に揺らぎはないが、時期については国と地元の政治状況をにらむ。

解散絡む展開に

最終的には自治体の同意を取り付けるために経産相ら関係閣僚が地元に入る方向で調整中。関電の最大の需要地、大阪市の橋下徹市長が再稼働に慎重な構えをみせているだけに、福井県、周辺の市町、大阪市への根回しについて「慎重にしなければならない」とタイミングを計っている。

国会論戦と政局の行方も注視する。3月から4月にかけては消費増税の問題で与党内調整、野党との折衝がヤマ場を迎え、政権が危機を迎える可能性は否定できない。最終段階に入った東電の経営権問題も決着をつける必要がある。

一方で決断を先送りし続ければ再稼働のきっかけも失いかねない。再稼働には政権の勢いと衆院解散・総選挙の行方が絡む展開となってきた。

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