福島復興へ包括策 政府、帰還・移住を手厚く支援

2013/12/20付
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政府は20日、東京電力福島第1原発事故からの復興に向けた包括的な支援策をまとめた。早期帰還を目指す住民を賠償の上乗せや新たな交付金で後押しする一方、帰還が見通せない避難者にも移住などの支援を手厚くする。原発事故にかかわる国と東電の分担も見直し、除染費用など国が一部を負担する。被曝(ひばく)への不安が根強いため、将来にわたり国が住民の健康対策に責任を持つことも明記した。

同日朝に首相官邸で原子力災害対策本部(本部長・安倍晋三首相)を開き、福島復興の指針を正式決定した。安倍首相は会合で「いまだに避難を余儀なくされている10万人を超える被災者に、1日も早く生活再建を果たしてもらうのが政権の使命だ」と述べた。

避難指示が出た福島県内の11市町村の中でも放射線量が低い一部地域は、来春にも指示が解除される。避難指示の解除が近い地域では、早く帰還した人に賠償を上積みする。100万円程度の一括払いを想定。商店が営業再開しないなど生活の不便さに配慮する。帰還者が傷んだ家を改修・建て替える場合は費用を賠償で賄えるようにする。解除後も1年間は慰謝料の賠償を続ける。

住民の帰還支援のために政府が新設する「福島再生加速化交付金」も増やす。今年度補正予算案に約500億円を計上したが、来年度予算案で積み増すなどして総額1500億円規模にする。線量が高い場所の除染や、病院や商店の再開を支援するなど自治体が幅広く使えるようにする。

一方、避難が長引く帰還困難区域などの住民向けには、移住先で家を買う費用を賠償に上乗せする。故郷を離れる精神的損害のため数百万円の慰謝料をまとめて払い、新生活を始めやすくする。

被災地の追加被曝線量を年1ミリシーベルトまで下げる目標は維持するが、数十年かけて達成する長期目標とする。さらに空間で測った線量ではなく、個々人ごとに測った線量とする。現実的な目標に改め、帰還を後押しする。

被災地では住民の被曝への不安も残るため、国が健康対策でも責任を持つ。地域ごとに医師や看護師らを相談員に指名し、相談にのってもらう。

今回の包括策では、福島第1原発事故にかかわる国と東電の費用分担も見直した。放射線量を下げるための除染や、汚染土をためる中間貯蔵施設の費用は東電が払うことになっていたが、一部を国が負担する。除染にかかる約2.5兆円の費用には、国が原子力損害賠償支援機構を通じて保有する1兆円の東電株の将来の売却益を充てる。

福島県内につくる予定の中間貯蔵施設にかかる約1.1兆円の費用は、電気料金に上乗せしている電源開発促進税(電促税)から30年以内で払う。まず2014年度の予算には350億円を計上する。

除染や中間貯蔵の費用は政府が東電にいったん請求する仕組みだ。東電の債務が一時的に急増する恐れがあるため、政府は東電への無利子融資枠を現在の5兆円から9兆円に増やして支援する。

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