2019年4月24日(水)

口蹄疫、初のワクチン接種決定 苦渋の封じ込め策
政府、農家へ無利子融資検討

2010/5/19 21:21
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政府は19日、宮崎県で広がる家畜伝染病の口蹄疫(こうていえき)対策として国内では初めてワクチン接種を決めた。農林水産省では10キロ圏内でワクチン接種後、殺処分を完了するには3カ月ほど必要と見ており、長期化を覚悟した措置といえる。

殺処分の実施には現行法上、農家の了解が必要。ウイルスを持つ家畜が残れば完全な封じ込めは難しく、関係者からは「日本の畜産業のためと訴えて農家に頭を下げるしかない」(農水省幹部)との声が出ている。

ワクチン接種の対象は、発生が集中する宮崎県川南町や高鍋町など4町の半径10キロメートル以内にいる牛と豚だ。殺処分奨励金のほか、畜産農家への経営再開の資金として無利子融資を実施する検討に入った。緩衝地帯と位置付ける10~20キロメートル圏内の家畜を対象とした市場への早期出荷に応じた農家にも同様の融資策を適用する方向だ。

ワクチン接種後、殺処分する牛1頭60万円という政府が決めた額について、九州の生産者団体は「生産費の高いブランド和牛なら採算割れの可能性がある」と不安をみせる。

既に殺処分した農家には、10キロメートル圏内でワクチン接種する家畜への殺処分奨励金と同規模の手当金を支給する。家畜伝染病予防法では評価額の5分の4を支払う規定だが、残りの宮崎県の負担分も総務省が特別交付税として補てんする。

人員も強化する。防疫に取り組む獣医師を50人増やして180人態勢とし、処分した家畜を埋却する自衛隊員を340人に倍増。通行車両の消毒などにあたる警察官も九州管内から新たに160人を派遣する。

鳩山由紀夫首相は19日、首相官邸で開いた対策本部で「政府として今まで以上に力強い対策を緊急にとる必要がある」と強調。赤松広隆農相は記者会見で感染拡大に関して「結果責任はある」としたうえで「国の対応としてやるべきことはやってきた」と主張した。

子牛の取引価格は上昇している。農畜産業振興機構によると、5月中旬までに報告された全国の黒毛和種の子牛平均取引価格は1頭39万9262円で、前年同月に比べ12%高い。全国有数の子牛の供給地の九州を中心に競り市の中止・延期が続出。このままなら5月の全国子牛出荷数は前年同月比で4割減る計算だ。

なかでも岐阜県の飛騨家畜市場の今月上旬の子牛取引価格は3月に比べ5~15%高。JAひだによると「飛騨牛」の一部は宮崎県の子牛を肥育している。宮崎県産の減少分を補うため、畜産農家が地元産の子牛の調達量を増やしたという。

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