ローソン、特区で農業 各地で企業参入相次ぐ
国家戦略特区に参入する企業が相次いでいる。18日に新潟市で開いた特区区域会議では、ローソンが新潟市内の農家と連携して、コメの生産・加工を実施する計画を示した。兵庫県養父市の特区でもオリックス不動産などが農業分野で事業を実施する。規制緩和を活用して、新しい事業を始める動きが広がっている。
ローソンは年内をめどに農業生産法人「ローソンファーム新潟」を設立する。ローソンの店舗で販売するおにぎりや弁当向けの生産・加工を実施する。
新潟市の特区では農業生産法人の設立要件を緩和した。今の法律では農業生産法人の役員の4分の1は農作業者で占める必要があるが、新潟の特区なら農作業者の役員が1人でも生産法人を設立できる。ローソンは機動的に事業を拡大しやすいと見て参入を決めた。
新潟市内の企業「フジタファーム」は自社で作った牛乳などを使ったスイーツカフェを設ける。農地に農家レストランを設けられるような規制緩和が実現したためだ。
兵庫県養父市では稲作などを手掛ける新鮮組や、イオングループで農業を手掛けるイオンアグリ創造が規制緩和を生かして新事業を実施する予定だ。同市は農業委員会が持つ農地の権利移転の権限を市に移すことで、農地の流動化を進めている。企業が農業に参入しやすい環境が進んでいる。
関西圏の特区では住友不動産がまちづくりの事業を進めるほか、大阪大学医学部付属病院が医療の規制緩和を活用し、先端医療の実証実験を進める。一方で東京圏は区域会議開催のめどが立っておらず、参加する企業の選定も遅れている。
国家戦略特区は地域限定で大胆に規制緩和する制度で、政府は成長戦略で目玉の政策と位置づけている。3月末に第1弾として東京圏や関西圏など6地域が決まった。現在は国・自治体・事業者による区域会議を順次開き、特区の具体的な計画を話し合っている。