人口減、高齢化と「日本離れ」が追い打ち

2012/4/17 21:32
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総務省が17日発表した人口推計は、人口減少が日本経済の重荷になる点を浮き彫りにした。団塊世代の引退で、来年から15~64歳の生産年齢人口は減少ピッチを速めていく。外国人の流出も過去最多となり、企業は労働力をどう確保するかの課題に直面している。人口増を前提に設計していた社会保障制度や都市計画も見直しを迫られる。

1947~49年生まれの団塊世代は約800万人。今年から47年生まれを先頭に年金を受け取る65歳に達し、今後、働き手は急減する。

人口の減少で、国内消費のパイは縮小する。百貨店や自動車の売り上げの基調は前年割れ。日本総研の湯元健治理事は「非製造業も海外展開を考えないと生き残れない時代に入った」と指摘する。

新たな働き手と期待された外国人は、東日本大震災以降、流出が目立っている。ラーメンチェーン「日高屋」のハイデイ日高では震災後、約1500人の外国人従業員が母国へ帰国し、一部の店舗では営業時間の短縮を余儀なくされた。吉野家ホールディングスでも震災直後、中国人を中心に約200人の従業員が退職した。首都圏の店舗では店員を配置換えしたり、日本人従業員を新たに採用したりする対応を迫られている。

先細る労働力人口をどう補うか。政府は女性や高齢者の働き手を増やそうと子育て環境の整備や65歳までの雇用確保を政策の柱に掲げるが、実効性は不透明だ。人手不足の介護分野の外国人労働者の受け入れも進んでおらず、急ぐ必要がある。

喫緊の課題は社会保障制度の見直し。政府が進める社会保障と税の一体改革は、消費増税と社会保険料の引き上げで負担を増やす一方、高齢化で膨らむ医療費や介護費を抑える対策は乏しい。BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは「年金の支給開始年齢の引き上げや医療費削減に踏み切るべき」と指摘する。人口減に適応した都市計画など公共政策も見直しが必要だ。

人口の増減を都道府県別にみると、震災や福島第1原子力発電所事故が大きく影響した。福島県や千葉県などは転出が転入を上回る社会減少となり人口が減少した。一方、震災や原発事故に伴い「東から西」に移住する人が増えたため、大阪府や福岡県は社会増加となった。

社会減となった被災県では、福島県が県外に避難している人が戻れるよう除染の徹底や産業の再興策など対策を立てている。宮城県や岩手県は被災企業の早期復旧などを後押しし、若年層の働く場の確保を急いでいる。

千葉県の森田健作知事は「子育てしやすい環境を整えたり企業誘致で活性化したりすることで人口減も緩やかになっていく」と話しており、今年度中に対策チームを設置する方針だ。

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