2018年10月16日(火)

汚染水対策、3本柱で始動 東電が凍土壁を初公開

2014/5/16付
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政府や東京電力は16日、福島第1原子力発電所の建屋への地下水流入を止める「凍土壁」の実験現場を初めて報道陣に公開した。地下水は汚染水の発生源で、土を凍らせて水をせき止める凍土壁は汚染水対策の切り札とされる。東電は6月の工事開始を目指すが、原子力規制委員会は安全性に注文をつけている。

「カン、カン、カン」。16日、福島第1原発の構内に数メートル掘られた穴の中。スコップで土をたたいてみると、固い音が返ってきた。そばにはマイナス30度の冷却材が流れる凍結管が地中30メートル近くまで埋められ、土を凍らせている。

凍結管は約1メートルおきに敷き詰められ、福島第1の周囲1500メートルを「凍った土」でおおうことになる。凍土壁をつくるのは原子炉建屋に1日400トン流れ込む地下水を止めるため。建屋内で地下水が高濃度の放射性物質にふれると汚染水が生まれる。政府は汚染水対策の目玉として凍土壁の工事費用320億円を負担している。

この日公開された小規模な凍土壁の実験では、周囲との水位差により地下水を止める効果が確認できた。政府・東電は6月末までに本格工事を始める。2015年度前半には凍土壁で原子炉建屋を取り囲む計画だ。

凍土壁の工事を始めるには原子力規制委の認可が必要だが、規制委は安全面で注文をつけている。規制委が心配するのは地下水が止まることで壁の内側の地層に含まれる水が減り、地盤沈下が起きてしまうこと。地盤沈下が起きれば原子炉建屋がゆらいでしまう恐れもあるからだ。

凍土壁の建設を担う鹿島の高村尚・原子力環境グループ設計長はこの日「原発の地下は堅固な岩盤で、新たな沈下はほとんど起きないとみている」と説明した。東電は近く規制委に地盤についての新たなデータを提出して理解を求める考えだ。

汚染水対策は今年度、凍土壁以外にもヤマ場を迎える。政府・東電は汚染される前の地下水をくみ上げて海に流すのが有効とみて調整を進めている。21日にも海洋放出は始まる見通し。ただ地元の漁業関係者は懸念を示しており、風評被害を防ぐための手立てが求められる。

今年度中にはタンクにためられた約40万トンの高濃度汚染水から放射性物質を取りのぞく作業も終える計画。ただ放射性物質を取りのぞくための装置「ALPS」はトラブルが頻発している。安定稼働できなければ計画の達成は困難だ。

福島第1の汚染水問題は、柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働にも影響する。原子力規制委は昨秋から柏崎刈羽6、7号機の安全審査をしているが「福島第1で困った事態が起きれば審査中断もある」(田中俊一委員長)との立場。凍土壁、地下水の海洋放出、ALPSの3本柱で汚染水を止められなければ、東電再建もおぼつかなくなる。

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