法制局長官に生え抜き横畠氏 首相、慎重派取り込み

2014/5/16付
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 政府は16日の閣議で小松一郎内閣法制局長官を退任させ、横畠裕介内閣法制次長を昇格させる人事を決め、同日付で発令した。小松氏は内閣官房参与に就き、横畠氏の後任の次長は当面、空席とする。集団的自衛権の限定行使容認に向けた議論が与党内で本格化するのを前に、安全保障法制に通じた横畠氏の内部昇格でも小松氏の路線は踏襲されると判断した。

 「適材適所という形でお願いした」。菅義偉官房長官は16日の閣議後の記者会見で、横畠氏の昇格理由を説明した。集団的自衛権を巡る今後の議論への影響も「まったくない」と言い切った。

 検事出身の横畠氏は法制局で第1部長、法制次長と順調に階段を上がってきた。憲法解釈の実務経験が長く、日本周辺有事での米軍への後方支援を定めた周辺事態法なども手がけるなど安保法制に明るいことで知られ、長官就任が有力視されていた一人だ。

 ただ昨年8月、首相は駐仏大使だった小松氏を登用する異例の人事に踏み切る。第1次安倍政権で、集団的自衛権の行使を認める憲法解釈の変更を目指した際、法制局の猛反発にあったことが念頭にあり、憲法解釈に慎重な法制局の議論に風穴を開ける狙いだった。

 横畠氏は法令解釈の手堅さから「あだ名は学者」(法務省関係者)とも言われ、官邸サイドは法制局の生え抜きの象徴として横畠氏を遠ざけた。

 一方、長官に就任した小松氏は1月に体調不良を訴え1カ月間、入院。腹腔(ふくこう)部に腫瘍が見つかり、復帰後も週1回程度、通院して抗がん剤治療を続けてきた。実は首相はこのころ、職務続行に意欲を示す小松氏を見守りつつ、体調悪化の場合に備え、小松氏と同じ外務省の国際法局長経験者らを中心に後任人事を探った。

 2月の衆院予算委員会。横畠氏が小松氏の代わりに国会答弁に立った際、憲法解釈の変更に慎重な姿勢を繰り返し、首相が「答弁の最高責任者は私だ。その上で選挙で国民から審判を受ける」と声を荒らげたことがあり、横畠氏の起用をためらう一因になっていたようだ。

 ただ、小松氏の後任をめぐる水面下の調整は進まず、結局、首相は横畠氏の昇格を決めた。「人事権をかざし、解釈改憲に反対だった急先鋒(せんぽう)を取り込む狙いがあったのでは」(民主党幹部)との見方もあるが、首相が「集団的自衛権をめぐる解釈改憲の流れは変わらない」との強気の姿勢を示したとも言われる。

 「しっかりやってください」。首相は16日の辞令交付の際、横畠氏にこう声をかけた。この後、横畠氏は記者団に、行使容認の憲法解釈変更に関し「およそ不可能という前提には立っていない」と従来の姿勢を転換する意向をにじませた。

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