消費税「益税」問題に対応 企業、1000億円単位の負担増
消費税が適切に納税されずに事業者の手元に残る「益税」問題への対応策は企業にとって1000億円単位の負担増になりそうだ。将来の税率引き上げをにらみ、懸案だった徴収の透明化に踏み込んだ格好だ。
消費税は事業者が売り上げにかかった税額から仕入れにかかった税額を差し引いて納税する。一方、アパートの家賃収入など売り上げが非課税の場合、建設費などに対する消費税額は原則、控除できない。だが、家賃収入発生前に自動販売機などを置いて売り上げの95%以上が課税売り上げになった場合、仕入れ税額の全額控除が認められるルールがあり、還付金が発生する。
このルールを使った課税逃れが頻発。11年度改正で適用対象者を「課税売上高が年5億円以下の事業者」に限定。2012年4月以降に適用する。
ルールの適用から外れると、非課税売り上げのための仕入れにかかる消費税を控除できなくなり、企業が納税すべき消費税額が増える。大和総研の是枝俊悟氏の試算によると、大企業全体で2700億円程度の増税になる可能性がある。
このほか、免税事業者の要件も見直す。現行は課税売上高が1000万円を超えた翌々期から課税事業者となるが、課税売上高が上半期で1000万円を超える場合には、翌期から課税事業者とする。