GDP実質0.4%成長に鈍化 4~6月年率
内閣府が16日発表した2010年4~6月期の国内総生産(GDP)の速報値は、物価変動の影響を除いた実質で前期比0.1%増、年率換算では0.4%増となった。年率換算の実質成長率は3四半期連続のプラスを維持したものの、1~3月期の4.4%より大幅に鈍化した。この結果、日本の名目GDPはドル換算で中国を下回った。政策効果の一巡などで景気回復のペースが鈍っていることが鮮明となり、同日の東京市場では株価の下落と長期金利の低下が加速した。
前期比年率でみた4~6月期の実質成長率は、日経グループのQUICKがまとめた民間予測の中央値(2.3%)も割り込んだ。個人消費や住宅投資などの不振が響き、3.9%のユーロ圏や2.4%の米国を下回る水準となった。
生活実感に近いとされる名目GDPは前期比0.9%減、年率換算では3.7%減で、3期ぶりのマイナス成長に転じた。物価の総合的な動向を示すGDPデフレーターは前期比1.0%低下しており、日本はデフレから抜け出せずにいる。
前期比でみた実質成長率0.1%のうち、内需は0.2ポイントの押し下げ要因、外需は0.3ポイントの押し上げ要因となった。内需の寄与度は3期ぶりのマイナスに転じた。
内需の伸び(実質の前期比)を項目別にみると、個人消費は0.03%増。辛うじてプラスを維持したが、ほぼ横ばいにとどまった。4月のエコポイントの制度変更を控えた駆け込み需要が膨らみ、その反動で薄型テレビの売り上げが落ち込んだ。住宅投資は1.3%減と2期ぶりに減少した。
設備投資は0.5%増と3期連続のプラスとなった。産業機械や掘削機械などが伸びた。公共投資は3.4%減と4期連続でマイナス。民主党政権の公共事業削減の影響が出ている。民間在庫は実質成長率を0.2ポイント押し下げた。
外需では輸出が5.9%増と5期連続でプラスとなった。高水準で推移していたアジア向けが伸び悩んだものの、欧州向けや米国向けが好調だった。輸入は4.3%増となった。
働く人の手取り総額を示す名目雇用者報酬は前年同期比0.9%増え、7期ぶりのプラスに転じた。夏のボーナスが下げ止まったのが寄与した。