健康保険組合 高齢者医療の負担重く
▽…主に大企業が従業員のために設けている医療保険。中小企業向けの全国健康保険協会(協会けんぽ)、自営業者や退職者らが入る国民健康保険とともに、国民皆保険制度を支える。従業員とその家族の医療費は原則3割の自己負担と政府の財政支出分を除いて、健保組合が支払う。
▽…保険料は、企業と従業員が原則折半して負担する。かつては保養所を売却するなどして収支改善に取り組む動きが目立ったが、最近は保険料率の引き上げで収支をやりくりする企業が相次いでいる。健保組合の保険料率は現在、平均8%台だが、協会けんぽの10%に近づいている。
▽…財政悪化の主因は、高齢者医療制度を支えるための分担金の増加だ。例えば、75歳以上の高齢者の医療費14兆円超をまかなうためだけでも計約2.2兆円の資金拠出が必要だ。この分担金を巡っては、政府が協会けんぽや国保に1兆円の国費を投じ財政支援を実施している。これに対し健保組合には、加入者の所得が高いことを理由に国費を投じておらず、保険料から分担金を捻出している。