2019年1月22日(火)

人民元、経済減速が促す変動幅拡大 先高観薄れる
景気腰折れなら元安誘導も

2012/4/14付
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【北京=大越匡洋】中国が人民元相場の変動幅を5年ぶりに拡大する。貿易黒字の縮小や景気の下振れ傾向で海外からの資金流入が細り、元の一方的な先高観が薄れていることが背景だ。経済の減速が「改革」を打ち出す余地を生んだといえる半面、足元で元高が加速する可能性は小さい。景気が腰折れしそうなら元安への誘導で輸出のテコ入れに動く構えもうかがえる。

中国人民銀行(中央銀行)は14日、人民元の対ドル相場の変動幅について従来の1日当たり上下0.5%から1%ずつに広げると発表した。16日から適用する。

変動幅の拡大は2007年5月以来の措置だが、既定路線をようやく実現した面もある。温家宝首相は今年3月の全国人民代表大会(全人代)の記者会見で「上下双方向の変動を大きくする」と言明。人民銀の周小川総裁も「さらなる拡大は可能」と指摘していた。

ただ陳徳銘商務相が4月9日発行の雑誌「新世紀」で「人民元高は(輸出)企業の経営を圧迫する」と述べるなど、変動幅の拡大による悪影響を懸念する声は根強い。慎重論を押し切ったのは、皮肉にも中国経済の減速だったとみられる。

中国の貿易収支は2月に赤字に転じるなど、従来の黒字増大の傾向は変調を示す。元高を抑える目的でドル買い・元売りの為替介入を繰り返して膨らむ一方だった外貨準備高も昨年11月、12月は2カ月連続で減少した。海外からの資金流入が細り、元相場の下落が続く事態も生じている。

13日発表の1~3月期の実質成長率は8.1%に沈み、5四半期連続の減速を示した。翌14日の発表には「変動幅を拡大しても過度の元高圧力をもたらすことはない」(政府系シンクタンク、中国国際経済交流センターの張永軍研究員)との判断も働いたようだ。

減速したとはいえ8%台の成長を保つ中国の元相場は長期的に上昇する公算が大きいが、短期的に下落もあり得る。元安は輸出に追い風だ。人民銀は14日の発表文で「マクロ経済と金融市場の安定」に触れ、景気動向を見極める姿勢を示した。

一方で変動幅が狭いままだと元相場の下落リスクが限られ、投機資金が流入しやすくなる。元の先高観が後退したタイミングをとらえて変動幅を広げ、バブルにつながる短期資金の大量流入をけん制する狙いも浮かぶ。

米国を中心に経済の実勢に見合った元の切り上げを迫る声はやまない。中国当局は4月下旬に米ワシントンで開く20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議も視野に入れる。対中強硬論が増す見通しの今秋の米大統領選もにらみ早めのカードを切り、外向きへのアピールを急ぐ中国の計算も浮かび上がる。

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