TPP協議、米「聖域全廃」で揺さぶり 年内妥結へ綱引き

2013/11/14付
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環太平洋経済連携協定(TPP)を巡る日米交渉が緊迫してきた。米国が日本に輸入関税を全てなくすように要求。日本側は特別輸入枠の導入にとどめ、コメなどの聖域の関税を維持する妥協案が浮上している。日本は、年内妥結を急ぐ米国の事情をにらみながら落としどころを探る戦術だ。

「農産品5項目がどれくらい政治的に重い課題か。十分に理解してほしい」。12日、甘利明経済財政・再生相はルー米財務長官との会談の冒頭から強く迫った。だがルー氏も引かず、「そこは努力してほしい」と切り返した。

関税全廃を求める米国の要求はルー氏との会談前に伝わっていた。再生相は数日前、米通商代表部(USTR)のフロマン代表と電話で会談。この時に米国側が関税全廃の要求を突きつけたもようだ。

日本政府は、米国の関税全廃要求に面食らった。日本がTPP交渉に入る前の4月12日に出した日米協議の合意文書は「日本には農産品、米国には工業製品という重要項目がある」と明記。交渉に関わった経済産業省幹部は「日本は農産品を守るために自動車分野で米国に譲った」と語る。日本が関税を守りたいコメや砂糖などの聖域は、米国は触れるはずがないと思い込んでいたフシがある。

米国が態度を急変したのはTPP交渉のスケジュールと密接に絡んでくる。米国は交渉参加11カ国に年内の交渉妥結を強く求めている。来年1~2月には米連邦政府の財政問題が再び期限を迎え、米政府首脳が通商交渉に正面から取り組む余裕は乏しくなる。来年秋の中間選挙を控えるオバマ政権がTPPの交渉妥結を成果にするには年内妥結は譲れない線だ。

日本が全ての輸入関税をゼロにするのは「絶対にあり得ない。補助金などの対抗措置を打っても世論が収まらない」(内閣官房)。こう主張する日本に、米国はたたみかけるように一定量のコメを無税で輸入するミニマムアクセス米の拡大を持ちかけた。

日本は12月のTPP閣僚会合で示す関税撤廃率を95%前後にする方針を固めている。これ以上の引き上げは拒む考えだが、ほかの参加国の自由化率は90%台後半から100%で居心地の悪さを感じているのも事実だ。

ミニマムアクセス米は1993年のガット・ウルグアイ・ラウンド交渉で日本のコメ市場を守る代わりの措置として導入した。落としどころとして米国に譲歩する姿勢をちらつかせつつ、年内妥結に焦る米国の交渉姿勢を見極める戦術だ。

日米の関税交渉はTPP交渉に参加するほかの国の関心も高い。オーストラリアやニュージーランド、カナダなども米国と同じように日本の農林水産市場の開放を求めており、日米交渉の行方がこれらの国との交渉も左右するからだ。

12月2~4日にはバイデン米副大統領が来日、安倍晋三首相と会談する。年内妥結へ期限が迫る中、互いにどこまで譲れるか。ぎりぎりの攻防が本格化しそうだ。

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