2018年4月24日(火)

八木秀次高崎経済大教授「首相の保守思想の根底は『諸君!』」

2013/11/17付
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 安倍晋三首相のブレーンとして知られる八木秀次高崎経済大教授(憲法学)は首相が2009年6月号で廃刊となった月刊誌「諸君!」(文芸春秋刊)によって影響を受けたと指摘している。(聞き手は政治部 飯塚遼)

八木秀次高崎経済大教授

 ――側近の1人として、首相の人柄をどう見ていますか。

 「人なつっこい兄貴分のような存在。とても気さくに話をする人で、政策が対立する議員には、それが先輩であっても、平気で呼び捨てにして批判する。聞いている方が心配になるくらいだが、そこも安倍さんの魅力だ。ただ自分の心の内は周辺にもなかなか話さないタイプ。ブレーンといわれる人たちも首相と(一対一の関係で)個人的につながっている場合が多く、横のつながりはほとんどない」

 「左翼を骨の髄まで嫌っている。安倍さんは学校教育の中で、自民党の悪口を散々聞かされ、どうやって反論するかを常に考えながら育った。大学時代に文芸春秋のオピニオン誌の月刊『諸君!』を読み出し、批判する側の左翼がおかしいということを再認識した。安倍さんの保守思想の根底は『諸君!』によって形成されたと言ってもいい」

 ――第1次安倍内閣が短命に終わった理由をどう分析していますか。

 「第1次内閣は理念先行で政策の優先順位を付けられなかった。『戦後レジームからの脱却』という、かなりとんがったテーマも設定したが、言葉の意味を国民が理解できなかった。要するに言葉が浮いていた」

 「首相秘書官や首相補佐官などの側近人事の間違いも大きかった。当時の安倍さん自身の気負いと準備不足も、短命となった原因の一つ」

 ――安倍首相が持つ保守思想とはどのようなものですか。

 「安倍さんは理念先行の急進的なフランス革命に異を唱えた英思想家バークの考え方が頭にしっかりと入っている。それは伝統を重視し、国家としての連続性の中に今の自分たちが存在し、それを子孫に引き継いでいくという視点だ」

 「一方で現実政治で自分たちの考えを実現するには、いかに国民に理解させ、支持を取り付けるかが課題となる。その意味では、安倍さんも靖国神社への参拝時期を今ではないとみているのではないか。従軍慰安婦問題も、まずは国際社会の誤解を解くことを先に進めるべきで、河野談話を一方的に撤回することは得策ではない」

 ――長期政権に向けた課題は何ですか。

 「一部保守派には、安倍首相に過剰な期待をかける人たちが存在する。彼らは靖国神社への参拝見送りを糾弾するが、それは安倍政権にとっては足手まといになる。安倍首相は在任中に必ず参拝すると思うが、周辺が『年内に参拝する』とか時限を設定してはいけない」

 「国際社会の衆人環視の中での政権運営では、できることとできないことがあり、当然、優先順位を付けざるを得ない。戦時中を評価するような極端な右派の期待をいかに振りほどくかが、長期政権実現に向けた課題となる」

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