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法人課税5%下げ決定 個人、5500億円超す増税に

11年度改正で政府や税調

(更新)

政府は13日、2011年度税制改正の焦点である法人課税の実効税率を5%引き下げることを決めた。菅直人首相が同日夜、表明した。政府税制調査会は同日、相続税の最高税率を引き上げるなど国・地方合わせて5500億円超の増税となる個人課税の見直しを税制改正大綱に盛り込むことを決めた。一方、法人減税の財源として廃止を検討してきた証券優遇税制は延長の公算が大きくなった。

首相は「思い切って5%下げて企業には国内に投資し、雇用を拡大し、給料を増やしてもらう。そして景気を引き上げ、成長を促し、デフレ脱却につなげたい」と記者団に語った。財源についての質問には何も答えなかった。

2011年度税制改正で個人課税は大幅増税に
(▲は増税、▽は減税)
個人所得課税(増税規模、年2,900億円超)
見直し内容増税額
(億円)
増税に
なる人
給与所得控除の縮小年収1,500万円超は控除額245万円で頭打ちに。高収入の役員はさらに控除額を縮減国1,200、
地方300
約50
万人
成年扶養控除の縮小年収568万円超は控除廃止。障害者や高齢者、学生らは継続国800、
地方300
約110
万人
退職金の優遇税制を縮小勤続年数5年以下の場合の優遇措置を廃止国100、
地方200
資産課税(同2,600億円超)
相 続 税基礎控除を4割圧縮。最高税率を55%に引き上げ。死亡保険金の非課税枠は対象限定
贈 与 税20歳以上の子や孫へ贈与する場合の税率構造を緩和

(注)増税額は平年度試算

国税と地方税を合わせた法人課税の実効税率は40.69%(東京都の場合)。これを国税の法人税を約4%、地方税を約1%下げる。

5%下げるには1兆5000億円の財源が必要となる。このうち、5000億円程度は企業以外の負担で確保する方向で調整に入る。個人課税の増税分の一部や将来の抜本改革時の増税を充てる見通しだ。

政府税調が同日、了承した個人課税のとりまとめ案では、所得税住民税など所得課税で2900億円超、相続税など資産課税で2600億円超の増税を見込む。増税規模は税制改正が完全実施された場合の平年度ベースで政府税調が試算した。

個人課税ではこのほか、11年末で期限切れとなる証券優遇税制について、財務省が1年の延長を金融庁に提案したことが13日わかった。金融庁は景気への配慮から2~3年の延長を求めており、財務省の提案を拒否。自見庄三郎金融担当相と野田佳彦財務相が14日午後にも協議して最終調整する。

 来年度改正では高所得者や富裕層ほど負担が増える。所得課税では、サラリーマンの税負担を年収に応じて軽減する給与所得控除を縮小する。現行制度では年収が増えるほど控除額が膨らむが、年収1500万円を超すと控除額を245万円で頭打ちとする。

同2000万円を超える報酬を得ている企業の役員などは控除額を一般社員に比べ圧縮。例えば年収4000万円超は控除額を半額の125万円に抑える。役員に加えて国会議員、地方議会議員、国家・地方公務員も対象。給与所得控除の縮小で、サラリーマン全体の1.2%を占める50万人程度が増税となる見通し。

23~69歳の親族を扶養する納税者に対する成年扶養控除も縮小する。年収が568万円(所得400万円)超の場合は「廃止」。ただ扶養している成年の親族が学生や障害者、65歳以上の高齢者の場合は引き続き税による支援が必要だと判断し、控除を継続する。110万人超が負担増となる見通し。

資産課税では相続税の最高税率を現行の50%から55%に引き上げ、基礎控除を4割圧縮する。現行制度では5000万円(定額部分)に、法定相続人1人あたり1000万円を加えた金額を遺産額から控除できる。これを定額部分3000万円、1人あたり600万円に下げる。

一方、若年世代への資産移転を促すため贈与税は減税する。20歳以上の子や孫へ贈与する場合の税率を引き下げるほか、生前贈与では課税繰り延べ措置の対象を孫まで広げる。

政府税調が来年度税制改正大綱に盛り込む項目を実行に移すには、次期通常国会で税制改正関連法案が成立する必要がある。衆院と参院の多数派が異なる「ねじれ国会」の下、先行きは不透明なのが実情だ。

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