11月の経常黒字15%減 円高で輸出鈍化鮮明に
財務省が12日発表した2010年11月の国際収支速報によると、モノやサービス、配当、利子など海外との総合的な取引状況を示す経常収支は9262億円の黒字になった。円高を背景に輸出の伸びが鈍ったことで、経常黒字幅は前年同月比で15.7%縮小した。
輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は2597億円の黒字で、前年同月比で46.6%減少した。輸出額は9.3%増の5兆1459億円。中国や欧州向けの金属加工機械や鉄鋼が好調だったが、30%前後の伸び率が続いた10年前半と比べると鈍化している。
輸入額は15.7%増の4兆8862億円。鉄鉱石や液化天然ガスが大きく伸びたほか、エコポイントの効果で中国などからの薄型テレビの輸入が3倍に急増した。
投資による稼ぎを示す所得収支は8229億円の黒字になり、13.0%増加した。世界的な低金利で外国債券の利子収入が伸び悩む一方、海外子会社の業績改善が所得収支を押し上げた。旅行や輸送などのサービス収支は993億円の赤字。海外旅行客の増加などで赤字幅が拡大した。