首相、ODA700億円表明 日モザンビーク首脳会談

2014/1/12付
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【マプト(モザンビーク)=川手伊織】中東・アフリカ歴訪中の安倍晋三首相は12日午前(日本時間同日夕)、モザンビークでゲブザ大統領と会談し、資源の採掘や加工で人材育成を重視した支援策を打ち出した。その後の講演では日本企業の投資は現地の雇用を生み出すことを強調。自国の労働者を送り込む中国との違いを鮮明にしてアフリカ支援で先行する中国をけん制する。

モザンビークのゲブザ大統領と会談する安倍首相(12日、マプト)=共同

モザンビークのゲブザ大統領と会談する安倍首相(12日、マプト)=共同

日本の首相のモザンビーク訪問は初めて。会談で首相は資源開発を支援する構想「日モザンビーク天然ガス・石炭発展イニシアチブ」を提唱した。豊富な資源を持つ同国で、鉱山開発、資源の精錬加工、環境問題への対応など資源に絡む人材を今後5年で300人以上育てる目標だ。石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)や国際協力機構(JICA)、千代田化工建設、秋田大学が専門家の派遣や日本での研修受け入れで協力する。

会談ではモザンビークの主要港から内陸に伸びる幹線道路「ナカラ回廊」などを建設するため、円借款など政府開発援助(ODA)を今後5年間で約700億円供与すると表明。これに加えて天然ガスを使った最新の火力発電所新設にも172億円の円借款を供与する。ビジネス環境を整えるため両国で官民合同対話を開くことも決めた。

日モザンビーク共同声明の概要
首脳合意
○ビジネス環境整備に向けた官民合同対話の開催
○投資協定の早期発効を期待
○国連安保理改革の協力
安倍首相が表明
○「ナカラ回廊」開発に5年間で約700億円のODA供与
○5年間で300人以上の資源関連の人材を育成する「天然ガス・石炭発展イニシアチブ」
○青年海外協力隊を増員

首相訪問に合わせて政府はモザンビークで投資フォーラムを開いた。首相が講演し「豊富な資源の恩恵は(モザンビークの)持続的成長や国民生活の向上に役立てなければならない。日本企業の投資は技術を現地に移転し、雇用を生み出す」と表明。具体例として三菱商事が参画するアルミ精錬の合弁会社モザールを挙げ、モザールは直接雇用で1千人超、周辺産業を含めると1万人超の雇用を生み出すと指摘した。

雇用効果を強調することでアフリカ進出で先行する中国や欧米との違いを訴え「日本をビジネスパートナーに選ぶなら今だ」と呼びかけた。モザンビークでは新日鉄住金が製鉄に使う原料炭の権益を確保し、三井物産は巨大ガス田を開発する予定で、投資フォーラムには商社や建設など日本企業約30社が参加した。

人材を重視するのは日本独自の支援策だ。中国は道路建設などの支援を迅速に手がけるが、自国から労働者を派遣し、技術移転が進まないという不満がアフリカ諸国にある。日本からの技術移転や研修でアフリカの若者らに高い技能をつけてもらい、自律的な経済成長を促す。投資機会を探る日本企業が現地で連携する人材を育てる狙いもある。

昨年6月に横浜市で開いたアフリカ開発会議でも人材育成の重要性を訴えた。「安倍イニシアチブ」と名付け、アフリカから1千人の若者を留学生として迎え、日本企業でインターンとして働く機会を提供、将来の進出企業の幹部に育てる。

首相は首脳外交を通じて各国で日本の独自性を訴え、民間投資を後押しして中国などに遅れたアフリカ市場の開拓に弾みをつけたい考え。国連安全保障理事会改革で協力を取りつけるなど国際社会での日本の立場の強化につなげる狙いもある。

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