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被曝線量を個人別に計測 福島帰還へ基準実質緩和

規制委案、年1ミリシーベルトは長期目標

原子力規制委員会は11日、東京電力福島第1原子力発電所の周辺地域への住民の帰還に向けた報告書案をまとめた。追加の被曝(ひばく)線量を年1ミリシーベルト以下にする方針は空間の放射線量ではなく、個人ごとに線量計で測った値に基づくとの見解を政府として初めて示した。住民の早期帰還もにらんで、実質的に基準を緩和した形だ。

 原子力規制委の報告書案のポイント
・被曝量は個人線量計による実測値が基本
・長期目標として年1ミリシーベルト以下(個人の線量)を目指す
・年20ミリシーベルト(空間の線量)を下回ることが帰還の必須条件
・地域ごとに対策工程表。健康相談員も置く

報告書案は11日開いた専門家会合で示し、大筋で了承を得た。個人ごとの線量を1ミリシーベルトとすることは長期目標であり、帰還の条件ではない点も明確にした。規制委は月内にも開く会合で正式に決め、年内をめどに適用する方針だ。与党側も同日、「空間の線量」よりも「個人の線量」を基準にするよう提言した。

個人に線量計を配って測る実測値は、屋外に長くとどまると仮定する空間線量と比べ低めに出やすい。この数値を目安にすれば、住民の帰還に道を開きやすくなる。除染費用の圧縮も見込める。

政府は追加の被曝線量を年1ミリシーベルト以下にする目標を掲げてきたが、被曝線量の定義が曖昧だった。地元は厳しめの基準である「空間の線量で1ミリシーベルト」が安全の目安と受けとめていた。報告書案は1ミリシーベルトが「安全と危険の境目を示す数値ではない」と説明した。

国際基準では、住民帰還地域の空間の線量を20ミリシーベルト以下にするよう求めている。報告書案は、空間線量で20ミリシーベルトを下回ることが「帰還の必須の条件」と改めて明記した。ただ、個人の線量で1ミリシーベルトと空間の線量で20ミリシーベルトの間のどこで避難指示を解除するかはっきりしない。避難指示の解除は地元自治体の同意が条件で、今後も市町村ごとに手探りで決めるしかない。

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