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「官邸人事」で政策遂行 内閣人事局が5月発足、官僚身構え

霞が関の省庁幹部人事が今夏から様変わりする。約600人の省庁幹部人事を一元管理する「内閣人事局」が5月に発足、首相官邸の意向を幹部人事に反映されやすくする。弾力的な人事を通じて政権が大胆な政策を進めやすくする狙いだ。省益にこだわりがちとされる霞が関の体質改革につながるのか注目される。

「縦割りや省益でなく、真に国、国民のために頑張ってもらう体制をしっかり取っていきたい」。内閣人事局を設置する国家公務員制度改革関連法が成立した11日、菅義偉官房長官は記者会見でこう強調した。

霞が関の人事制度改革は長く政治課題になってきた。バブル崩壊後、政策決定を霞が関主導から官邸主導に変える動きが強まり、1997年に橋本政権が省庁再編を決定。ただ人事制度改革には省庁の抵抗が根強かった。今回の新制度で政策決定の主導権を巡る「政と官」の関係は新たな局面に入る。

内閣人事局は内閣官房に160人規模で設置。人員は総務省や人事院などから移る。人事院が持つ各省庁の給与ランク別の人数を決める権限や総務省が持つ人事評価に関する事務も移管する。

■焦点は名簿作り

幹部人事はこれまで各省庁が原案をつくり、局長級以上の約200人を官邸の人事検討会議に諮ってきた。今後は各省庁の人事評価を材料に、官房長官の下で内閣人事局が幹部候補名簿を作成。閣僚は名簿から審議官級以上の計約600人の人事案をつくる。この人事案を首相、官房長官と閣僚らが協議して最終決定する。

運用の焦点になりそうなのが幹部候補者の名簿づくりだ。官邸は名簿に登用したい人材を入れたり評価しない職員を外したりして閣僚による人選に枠をはめられる。名簿の形式を各省ごとの名簿にするのか、各省横断の名簿にして閣僚が取り合う形にするのかなど詳細は今後詰める。

官邸が想定するのは内閣法制局長官に集団的自衛権の行使容認派の小松一郎氏を起用したような人事を増やすことだ。重要政策で政権の意向に沿った人材を配置、政策が円滑に遂行できるようにすることをねらう。

■女性起用増加?

新制度を各省庁はどう受け止めているのか。ある経済官庁幹部は「省庁間交流が積極的、戦略的になる」と前向きに評価。一方、財務省幹部は「官邸はこれまでも人事を変えられた。実質的にはそれほど変わらない」と静観する。

女性幹部が少ない国土交通省の幹部は「女性の抜てきもありうる」とみる。村木厚子厚生労働次官、一宮なほみ人事院総裁ら女性登用の流れが加速するとの見立てだ。

ただ変化に身構える声もある。ある経済官庁幹部は「政権の人事介入が増えれば、おとなしく無難な仕事をする役人が増える」(経済官庁)と指摘、政権交代で処遇が左右されかねないことが職員の意識に与える影響を懸念した。

新制度は「運用次第で政権にとって毒にも薬にもなる」(財務省幹部)だけに、霞が関を変える起爆剤になるのか、具体的な運用がカギを握りそうだ。

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