特区発の成長モデル 規制緩和や税優遇、産業再生の礎に

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2011/7/19付
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宮城県は農地の集約を促すため、土地の所有者の権利を制限して市町村が土地の配分をする構想を持つ。仙台市も農地集約と住宅の集団移転を同時にできるようにすることを求めている。広範な被災地で住むことができなくなり高台に移転する場合、移転先が農地であれば農業振興地域から除外して宅地に転用することなどが必要だ。

現行法では用途変更には各所管省庁や県の許可や同意が必要となり、被災市町村が多くの手続きをしなければならない。復興特区では土地利用や開発許可などの手続きを大幅に簡素化できるようにする見通しだ。

被災自治体では、原発事故を受け、再生可能エネルギー関連の特区構想も相次ぐ。岩手県や宮城県は太陽光発電や地熱発電の施設を建てる際に、支援制度や農地法などの規制緩和を求めている。福島県の有識者会議も県への提言に再生可能エネ特区を盛り込んだ。同県南相馬市は太陽光発電施設などに加え、放射線の研究施設や関連機関の誘致を目指している。

早くも関連業界の反発を受ける構想もある。宮城県が導入を目指す水産業復興特区。地元の漁業協同組合に優先的に与えられる漁業権を民間企業などが取得しやすくする内容で、平野担当相も「特区の対象になり得る」と話す。ただ、地元漁協は構想撤回を求める約1万人の署名を県に提出、強く反発している。

政府は復興特区特別措置法案に規制緩和や税制優遇措置を盛り込み、被災自治体のニーズを組み込む構えだ。復興を担う民間企業を後押しする固定資産税などの減免、工場立地規制や再生エネ普及に向けた立地規制の緩和などを想定する。

ただ、想定外の規制緩和要望が相次いだ場合の対応は不透明で、対象自治体をどこまで広げるかも決まっていない。特措法案の提出は第3次補正予算案と同じ9月以降の臨時国会になる見通し。首相の退陣時期を巡る官邸、与野党のつばぜり合いも特区推進に大きな影を落としている。

復興特区は被災地の農業や水産業の集約・大規模化や、再生可能エネルギーなど新成長分野を切り開くエンジン役になる可能性を秘めている。成功した規制緩和や減税措置は別の地域でも転用できる可能性があり、地域再生をかけた取り組みともいえる。

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