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薬のネット販売解禁、攻防最終局面に

テレビ電話の「対面」焦点

一般用医薬品(大衆薬)のインターネット販売解禁を巡る攻防が最終局面に入った。厚生労働省は10日の検討会で大衆薬の販売ルールの「たたき台」を示し、今月中に軟着陸を探る。焦点は、対面販売に近いテレビ電話の使用などの条件をどこまで設けるか。厳しい条件を主張する薬剤師などの団体と全面解禁を求めるネット企業との駆け引きが激しくなりそうだ。

安倍政権は6月にまとめる成長戦略にネット販売の解禁を盛り込む方向だ。厚労省はリスクの高い第1類と第2類の大衆薬のネット販売を省令で一律禁止していた。これを1月に最高裁が「違法で無効」と判断。以来ネット販売は解禁状態となったため、厚労省は販売ルールが必要と検討を始め、5月中をメドに集約を急ぐ。

たたき台では大衆薬を売るネット事業者に都道府県への届け出を義務付け、届け出た業者にロゴマークを発行する。ネット業者が顧客に提供すべき情報や応対手段の指針も示した。

薬剤師の雇用懸念

日本薬剤師会や日本医師会、日本チェーンドラッグストア協会などの業界団体は、ネット販売に慎重だ。薬剤師が相手の顔を見ながら服用方法などの情報を伝えることが安全性の確保に必要というのが理由。加えて「対面」の原則を守りたい事情もある。

 これまで薬の販売は対面原則があるために、多くの薬剤師を店頭に配置したドラッグ店が優位に立ってきた。規制なしでネット販売を解禁すれば数人の薬剤師で全国からの注文に応対するネット企業がコスト競争力で勝る。薬剤師にとってもドラッグ店でコスト要因と見なされ、雇用の場が減る恐れがある。

医師にとっても薬のネット販売は対面原則を崩す「アリの一穴」となりかねない。テレビで患者を診る「遠隔医療」などが広がるきっかけとなり、経営体力の乏しい診療所や病院の存立が脅かされるとの見方は根強い。

第1類も解禁求める

一方の推進派は、楽天やケンコーコムといったネット通販企業。第2類はもちろん、第1類の販売も全て解禁すべきだという立場だ。最高裁が、厚労省による裁量行政を否定する判断を示したというのがよりどころ。なのにテレビ電話の使用などが義務化されれば、「裁量による規制の復活」と強く警戒する。

ケンコーコムの後藤玄利社長は検討会で「テレビ電話など対面販売が原則のルールになれば、ネット通販各社が提訴する」と述べてけん制した。

検討会では今後、リスク区分ごとに大衆薬の販売条件を吟味する。厚労省はたたき台で第1類をリスクに応じさらに細かく分けた。まず薬事法に基づき医療用医薬品から転じて4年未満で安全性評価が確立していない薬を区別。これは第1類全体の2割ほどになる。残り8割も同省独自の基準で3つに分ける。こうした細かな分類で販売条件を分けることが慎重派と推進派を妥協に向かわせる決め手となるかどうかは不透明だ。

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