首相「原発事故、国も大きな責任」 原子力利用は継続
菅直人首相は10日、2011年度第1次補正予算成立と東日本大震災発生から2カ月を迎えることを受けて記者会見し「原発政策を国策として進めてきた政府にも大きな責任がある」と認め、陳謝した。東京電力福島第1原子力発電所の事故の賠償に関しては「一義的には事業者である東電だが、適切に行われるよう政府も責任を持って対応したい」と強調した。
2030年までに総電力に占める原発の依存度を50%以上と定めた現行のエネルギー基本計画については「いったん白紙に戻して議論をする必要がある」と表明。一方で「より安全な原子力のあり方をしっかりと求めて実行していきたい」と、原発を継続する考えも強調した。運転停止を要請した中部電力浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)以外の原発に関しては「浜岡のような逼迫した状況は報告されていない」と明言した。
原子力と、石油・石炭などの「化石燃料」を二本柱とする従来のエネルギー政策に、今後は「再生可能な自然エネルギー」「省エネ」の2つの新たな柱を据える考えも強調。「太陽、風力、バイオマス(生物資源)を基幹エネルギーにする」と語った。
26、27日に仏ドービルで開く主要8カ国(G8)首脳会議などを念頭に「色々なデータや内容を国際社会にもしっかり伝え、より安全な原子力エネルギー供給が可能になるよう貢献できれば幸いだ」とも表明、原発事故の情報開示を徹底する方針を示した。
原発事故の原因究明のための事故調査委員会は「従来の原子力行政からの独立性」などを重視して設置すると表明。「福島原発の事故、それに至る背景を究明することにとどまる」と語った。東電が示した追加のリストラ策は「東電の努力の一環と受け止めている」と評価した。
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