福島第1汚染水処理、政府の積極関与も

2013/4/10付
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東京電力が福島第1原子力発電所で発生する汚染水管理計画の見直しを決めた。地下貯水槽での貯蔵から地上タンクでの保管へと切り替える内容だ。コストはかかるものの、抜本的な対策が急務と判断した。ただ、増え続ける汚染水の保管は綱渡りが続く。東電任せの事故処理は限界に達しつつあり、政府は関係省庁による積極関与の検討を始めた。

東電にとって汚染水処理問題は廃炉作業の目下の最大の懸案となっている。予想外に汚染水が増え続けているからだ。汚染水は原子炉などを水で冷やすことで発生する。当初は冷却水を浄化して循環利用することを想定していたが、原子炉建屋にヒビが入り1日400トンの地下水が流れ込んでいたのが大きな誤算だった。汚染水は増加の一途をたどり、保管のために貯水施設を増設し続けなければならない状況に陥った。

そんな中で発生したのが今回の漏洩事故。人工池に防水シートを張った急ごしらえの貯水槽は、7つのうち3つは建造してから数カ月もたたずに汚染水が漏れだした。5万8千トンの容量を用意した地下貯水槽だが、構造的な欠陥を持つ可能性が高まっている。

東電は「ない袖は振れない」(尾野昌之原子力・立地本部長代理)として欠陥の疑われる地下貯水槽を使い続ける方針だったが、茂木敏充経済産業相は10日の衆院経済産業委員会で5月末以降は地下貯水槽の使用を禁じる方針を表明した。東電は2万トンを超える地下貯水槽の汚染水をためる別のタンクを急きょ確保しなければならなくなった。

汚染水は、近く導入する新型の装置を通しても一部の放射性物質が残る。地元自治体や漁協は海への放出に猛反発しており、汚染水の減量は見込めない。今後、東電は地下水から流れ込む1日400トンに加え、地下貯水槽からの移設分も加えて汚染水タンクを増設し続けなければならない。

同社が10日に示したタンク増設計画では、貯水容量はかろうじて汚染水量を上回っている。ただ増設するタンクで今回の漏洩のようなトラブルが発生すれば、貯水容量は一気に減少。保管計画は破綻し、汚染水の一部は行き場を失う。これまでに東電が設置した地上型のタンクは、施工時間を短くするため一部は溶接をやめてゴムパッキンをはさみボルトでつなげており、耐久性を疑問視する見方もある。

原子力規制委員会の田中俊一委員長は10日、汚染水の漏洩問題について「政府が一体となって取り組む体制をつくることをお願いする」と述べ、政府による東電支援体制の強化を緊急に検討するよう求めた。関係する資源エネルギー庁と原子力規制庁は近く協議し、連携して汚染水対策に取り組むことを決める。

度重なる停電騒ぎに続き、今度は漏洩事故を起こした東電は当事者能力が欠けているとの見方も強まってきた。広域にわたる除染事業は東電の手に負えず、当初から国と自治体が責任をもって手掛ける仕組みとなっている。汚染水処理など廃炉事業も、国の事業とすることが現実味を帯びてきた。

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