成長戦略会議、法人税下げの年内結論を指示 首相

2010/9/9付
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政府は9日、閣僚や日銀総裁、有識者をメンバーとする新成長戦略実現会議(議長・菅直人首相)の初会合を開いた。首相は法人課税の実効税率(現行40%超)引き下げについて、年内に結論を得るよう指示。雇用確保のための政策減税も打ち出した。いずれも財源の確保が前提で、早急な対応を迫られそうだ。ただ与党が参院で過半数を割り込んでいるため、税制改正関連法案が成立しない恐れもある。

■5%に1兆円超

首相の指示は法人課税の軽減に一歩踏み込んだといえる。政府が6月に策定した新成長戦略では「段階的に引き下げる」との表現にとどめ、具体的な時期に言及しなかった。今回は「2011年度予算編成・税制改正作業の中で検討して結論を得る」と指摘。年内結論という期限を明記した。

日本の法人課税の実効税率は、経済協力開発機構(OECD)加盟30カ国の平均(26.3%)よりも高い。経済界は軽減を強く求めており、経済産業省が11年度税制改正要望に5%の引き下げを盛り込んだ。年末にかけての税制改正論議の最大の焦点となる。

ただ首相指示では「課税ベースの拡大等による財源確保と併せ」とも指摘した。政府は6月にまとめた財政運営戦略で、新たな減税措置を導入する場合には、新たな財源の確保を条件とするルールを設定した。法人税も例外ではなく、5%引き下げるには1兆円超の財源を探さなければならない。厳しい財政事情のなかでどうひねり出すかは不透明だ。

首相は雇用確保のための政策減税(雇用促進税制)も指示した。首相が力を入れる雇用対策の「目玉」だ。政府税制調査会にプロジェクトチームを設け、早急に議論を始める。「政策税制措置を11年度税制改正で講ずる」と検討の期限にも踏み込んだ。

■米や韓国がモデル

正規社員や健康・環境分野の雇用増に取り組む企業、育児支援や障害者雇用に積極的な企業への減税措置などを検討する方針だ。環境関連の設備投資・技術開発を促す企業減税も協議する。

高齢者や障害者の雇用拡大に向けた政策減税は日本にもあるが、正規社員を増やす企業への減税はない。米国では失業者を雇った企業の社会保障税のうち、企業の負担分を一時免除する政策減税を導入。韓国は常勤社員を増やした企業の法人税を減額する新制度を検討している。こうした事例が参考になりそうだ。

ただ消費税や所得税などの増税論議がしぼむなかで、企業減税に振り向けられる原資は限られる。補助金を通じた雇用促進策との効果の比較や、法人税を納めていない赤字法人への扱いなど、詰めるべき課題も多い。

政府税調は首相指示を受け、検討を急ぐ方針。しかし14日の民主党代表選後の日程は不透明だ。小沢一郎氏は3日出演したテレビ番組で、大企業の法人税について「社会保険の負担も含めて比較すれば(国際的に)高くない」と語った。年内に結論を出すという菅首相とは温度差もあり、代表選の結果次第では首相指示が宙に浮く可能性もある。

与党が参院で過半数を割り込んでいるのも足かせとなる。年末に閣議決定する11年度税制改正大綱に、来年度からの法人税率引き下げを盛り込めたとしても、来年の通常国会で税制改正関連法案が成立しないことも予想される。

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