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大飯再稼働、首相「国民生活守るための判断」

福井知事「重く受け止める」

野田佳彦首相は8日夕、首相官邸で記者会見し、関西電力大飯原子力発電所3、4号機(福井県おおい町)の再稼働が必要だと明言した。「国民の生活を守るために再稼働すべきだというのが私の判断だ」と表明。日常生活だけでなく経済活動やエネルギー安全保障の視点からも原発なしでは日本社会は立ち行かないとして「原発は重要な電源だ」と強調した。

首相会見を受け、福井県の西川一誠知事は同日夜、「首相の強い思いを国民に向けてしっかり語っていただいたものと重く受け止めている」との談話を発表。再稼働に向けた手続きを進める考えを明らかにした。

県は原子力安全専門委員会を10日に開き、再稼働の安全性を確認。12日にも県議会各会派の代表者会議を、14日にも県議会の全員協議会をそれぞれ開く予定だ。この間におおい町の時岡忍町長から了承を得る。15日にも知事が再稼働に同意する方向で調整している。これを受け、政府は来週中に首相と関係3閣僚が協議し再稼働を最終決定する。この際に西川知事が上京し、県の了承を正式に伝える見通しだ。

政府は大飯原発を再稼働しなければ関電管内の電力不足率が、猛暑が続いた一昨年夏に比べ最大で約15%と算定している。首相は会見で「原発を止めたままでは日本社会は立ち行かない」と指摘。「計画停電になれば日常生活や経済活動は大きく混乱する。事態回避に最善を尽くさなければならない」と訴えた。

同時に「安全性を確保し、さらに高めていく努力を不断に追求することも約束する」と語った。

関西電力は政府が最終決定すれば、直ちに再稼働への作業に着手する。運転停止の長期化で配管の清掃など追加作業が必要となる。フル稼働まで1基あたり約3週間、2基のフル稼働には約6週間かかる。政府が来週中に最終決定しても、2基がフル稼働するのは7月下旬となり、梅雨明けの猛暑に間に合うかは微妙な情勢だ。

首相は会見で、大阪市の橋下徹市長らが主張している夏季限定の原発再稼働には「夏場限定では、国民の生活は守れない」と否定した。

大飯以外の原発の再稼働に関しては「丁寧に個別に安全性を判断していく」と述べた。

中長期のエネルギー政策では「政権として原発への依存度を可能な限り減らす方向で検討してきた」と述べ、原発の重要性を認めつつも、依存度を今後できるだけ低下させていく方針を示した。

政府は2030年時点の原発依存度などを定めた新しい中長期のエネルギー政策づくりを進めている。首相は「産業や雇用への影響、経済成長の促進などの視点で選択肢を示し、8月をメドに決めていきたい」と表明した。

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