2018年11月17日(土)

概算要求、省益優先・バラマキの芽目立つ

2012/9/8付
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2013年度予算の各省庁からの概算要求と、13年度税制改正要望が7日、出そろった。政府がまとめた「日本再生戦略」の実施に向け、環境・エネルギーなど重点3分野に予算の増額要求が集中。要求総額は、政策経費の上限である71兆円を2兆~3兆円規模で上回る。増額分野では既存の政策の寄せ集めや省益優先で事業の重複も目立つ。公共事業費が増額要求となるなど、バラマキの芽も見え隠れする。

「再生エネルギーを日本の産業の柱にする」。細野豪志環境相は7日の閣議後の記者会見で、環境・エネルギー分野に重点を置く13年度予算をこう位置づけた。

■省庁間で主導権争い

環境省の概算要求は復興特別会計を含めて1兆1177億円。過去最大だった12年度当初予算を9%も上回る。増額要求の背景にあるのは、政府が8月に閣議決定した概算要求基準で設けた「特別重点要求」だ。

特別重点政策と位置づけられた「環境・エネルギー」「健康」「農林漁業」の3分野は、手厚い予算要求ができる。エネルギー行政を担当する経済産業省は、蓄電池の開発などエネルギー関連の特別要求だけで2095億円を盛り込んだ。

各省がこぞって増額をめざしたため、事業の重複がみられる。たとえば再生エネ分野では、バイオマスや洋上風力発電の開発にかかわる予算を経産省と環境省がそれぞれ要望。事業内容に差はほぼなく、エネルギー政策をめぐる省庁間の主導権争いが要求額の膨張につながった面もある。

農林水産省は特別重点要求として、新規就農者が農業から安定収入を得られるまで、最長7年にわたり年150万円を支給する制度で今年度当初予算に比べて2.4倍の予算を要求。支給対象を林業と漁業にも広げるよう求めた。

政策の新味は乏しい。多くの政策は昨年10月にまとめた「農林漁業再生の基本方針」の具体化に向け12年度に新設した制度の拡充だ。特別重点要求の積み上げにはバラマキの要素も潜む。

■従来型事業が復活

7日締め切った概算要求では、一般会計ベースでの要求総額が98兆円に達する見通し。国・地方の借金が膨らみ続ける中で歳出抑制は大きな課題だが、国土交通省が要求した公共事業費は今年度当初予算比で5%増えた。震災をきっかけに強気の要求姿勢を貫く。「整備新幹線事業も防災・減災対策」(国交省幹部)。次なる危機への対応に名を借りた従来型事業が復活し始めている。

税制改正要望でもエネルギー分野の減税措置が並んだ。経産省などは環境に優しい設備投資への減税制度で新たに蓄電池を対象にし、企業が自家発電に使うコージェネレーション(熱電併給)設備の減税を拡大するよう求めた。

BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは「エネルギー・環境や健康、農林水産業は成長分野だが、予算をつけるだけでは高コストの構造が温存される。規制緩和も進めなければならない」と指摘する。

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