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景気回復ペース鈍る 5月の一致指数低下

市場の安定がカギ

景気の先行きに不透明感が表れてきた。内閣府が6日発表した5月の景気動向指数は一致指数が14カ月ぶりにマイナスに転じたほか、先行きを示す先行指数も2カ月連続で前の月を下回った。欧州の財政不安に端を発した為替・株式市場の混乱は続いており、先行きへの不安から企業活動も力強さを欠いている。エコポイントやエコカー購入補助金などの景気対策も効果が一巡しており、目先の景気回復ペースは鈍りそうだ。

景気の現状を表す一致指数は0.1ポイント低下し、金融危機に端を発した景気悪化が底入れした2009年3月以来のマイナスになった。先行指数も3.0ポイント低下と大幅なマイナスだった。政府は6月に景気の「回復」に言及したばかり。内閣府の津村啓介政務官は「6月は子ども手当の支給もある。今回の数字が基調を示すかは判断しかねる」と述べ、先行きを注視する考えを示した。

足元の景気にブレーキがかかったのは、海外経済の成長に一服感が出ているためだ。金融引き締めの影響で中国の景気拡大ペースが鈍っているほか、米国も雇用が期待ほど伸びず、景気の力強さが出てこない。5月の輸出数量指数(内閣府試算値)は15カ月ぶりに前の月を下回った。

輸出減速が企業の投資や生産の重荷になり、一致指数を押し下げる構図が鮮明だ。日銀の企業短期経済観測調査(短観)によると、10年度の設備投資は大企業製造業で前年度比3.8%増にとどまる。5月の鉱工業生産指数は自動車が落ち込んだことで前月比0.1%低下と、3カ月ぶりにマイナスになり、一致指数を押し下げた。

景気の「山」よりも10カ月程度先にピークを付けるとされる先行指数は耐久消費財の出荷指数の減速で大幅なマイナスになった。エコポイントで好調だった薄型テレビの売り上げが一服。生産財の在庫率も上昇し、景気対策は押し上げ効果よりも反動の大きさの方が目立ち始めている。

欧州の財政不安に起因する市場混乱も重荷だ。東証株価指数や日経商品指数などの市場関連指標はいずれもマイナス方向を示し、景気の減速懸念を映している。

ただ新興国を中心に世界経済の回復基調は続いており、金融不安が再燃しない限り、景気の急減速は避けられそうだ。ただ株安や円高が家計と企業の心理を冷え込ませており、実体経済への悪影響も否めない。市場動向が心理面を通じて景気の先行きを左右する要因になりそうだ。

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