2019年2月23日(土)

消費増税見直し論けん制 政府税調

2013/8/6付
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政府税制調査会(首相の諮問機関)は5日に開いた総会で、来年4月の消費税率引き上げについて議論した。ほとんどの委員は「予定通り消費増税を実施すべきだ」と述べ、政府内で浮上する増税見直し論をけん制した。ただ安倍晋三首相は週内に、増税に慎重な有識者も加えた消費増税の検証の場を設けるよう指示する見通し。現時点では増税見直しを排除しておらず、議論の行方は波乱含みだ。

5日の政府税調総会には麻生太郎財務相ら関係閣僚と約30人の委員が出席した。

「財政健全化は日本が成長するうえで根幹となる」。自由討論の場で消費税論議の口火を切ったのはボストンコンサルティンググループの秋池玲子パートナー&マネージングディレクター。増田寛也元総務相も「税収とほぼ同じ額の国債発行は極めて異常な姿」と語り、消費増税を予定通り実施すべきだとの考えを力説した。

産業界の出席者も同調した。「消費税は予定通り絶対上げるべきだと思う」。ローソンの新浪剛史最高経営責任者(CEO)は、日本の財政への信認確保に増税が不可避と指摘。東芝の佐々木則夫副会長は「新興国発のリスクなどに対応するため(消費増税で)歳入を確保しておく必要がある」と語った。

昨年8月に成立した消費増税法では、消費税率を2014年4月に5%から8%に、15年10月に8%から10%に2段階で引き上げることになっている。だが、首相のブレーンで内閣官房参与の浜田宏一米エール大名誉教授らはデフレ脱却を最重要視する立場から慎重論を展開。政府内では1%ずつ税率を引き上げる案も浮上している。

慎重論の最大の根拠は1997年4月に消費税率を3%から現行の5%に上げた経緯だ。この時の国民負担増は社会保険料増もあわせ約9兆円。増税の翌年の98年以降、日本の消費者物価が本格的な下落に転じ、現在に至る15年デフレの導火線となったとの見方が根強く残る。

「97~98年の経験を挙げるのは間違っている」。5日の総会では吉川洋東大教授はこう主張した。日本がデフレに陥った主因は、消費増税ではなく山一証券破綻などの金融システム不安との見方だ。

もっとも、増税論議の行方は混沌としている。政府税調は安倍首相の諮問機関だが実際の会議は財務省内で開く。消費増税を予定通り実施したい財務省と密接な関係がある。一方、安倍首相は8日、政府税調とは別に、消費税増税の最終判断に向けた検証の場を設けるよう指示する見通し。

会議には増税慎重派の浜田参与や本田悦朗静岡県立大教授らが加わる案が有力。法律通りに税率を上げるケースに限定せず、増税の影響を幅広く検証する。5日の政府税調総会とは異なり、予定通り増税を実施するかを巡り賛否が割れる公算だ。

株式市場では、消費増税を予定通り実施するかが安倍政権の経済政策運営のカギとの見方が徐々に強まっている。消費税論議は金融市場にも微妙な影を落とす形で進むことになりそうだ。

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