2019年8月24日(土)

麻生副総理のナチス発言、官邸 早期幕引き狙う

2013/8/2付
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麻生太郎副総理は1日、憲法改正を巡り戦前ドイツのナチス政権時代を例示した自らの発言の撤回に追い込まれた。米国内でも批判が出て菅義偉官房長官が収拾に乗り出し、早期の幕引きを狙う。野党は反発を強め、与党内からも苦言が相次ぎ、波紋は拡大している。麻生氏の失言が政権のリスクになっている。

「私の真意とは異なり誤解を招いたことは大変残念。遺憾に思う」。麻生氏は1日午前、記者団に語った。同時に発表文を読み上げる形で「ナチス政権を例示としてあげたことは撤回したい」と語った。

問題の発言は7月29日、都内で開いたシンポジウムで飛び出した。パネリストとして招かれた麻生氏は憲法改正について、ワイマール憲法下でのナチス政権を引き合いに「手口を学んだらどうか」と述べた。憲法改正は静かな環境で議論すべきだと強調する文脈での発言だったが、国内外から批判が殺到した。

米国のユダヤ系人権団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター」は30日、「どんな手口をナチスから学べるのか」とする抗議声明を発表。世界的に影響力の大きいユダヤ系団体の厳しい反応に「米国に悪影響が広がるのを放置するのは得策ではない」(麻生氏周辺)との判断に傾いた。

韓国外務省報道官は1日の記者会見で、麻生氏の発言撤回を受け「今後、日本政府と政界の高位指導者らが言動について、より慎重を期することを求める」と強調。中国外務省は31日の談話で「日本の主要な指導者が公然とナチスによる憲法改正に倣うべきだとした」と批判した。

事態を重くみた菅官房長官は31日昼、福岡県に出張中の麻生氏に電話で「誤解を招いている」と説明を求めた。麻生氏は「十分な国民的議論のないまま進んだ悪い例として例示した」と釈明したうえで「撤回する」と申告。菅長官から報告を受けた安倍晋三首相は「(撤回は)当然だ。早い方がいい」と語った。

野党内では民主党の海江田万里代表が1日、「発言を撤回して済む問題ではない。首相の任命責任にも触れないわけにはいかない」と批判。与党内からも公明党の山口那津男代表が「枢要な立場にある政治家は発言に重々配慮することが必要だ」と指摘した。

■麻生副総理の発言要旨

護憲と叫んで平和が来ると思ったら大間違いだ。改憲は単なる手段。狂騒、狂乱の中で決めてほしくない。我々を取り巻く環境は何なのか、状況をよく見た世論の上に憲法改正はなし遂げられるべきだ。ドイツのヒトラーは、ワイマール憲法という当時欧州で最も進んだ憲法下で出てきた。憲法がよくてもそういうことはあり得る。ある日気付いたら、ワイマール憲法がナチス憲法に変わっていた。誰も気付かないで変わった。あの手口に学んだらどうか。民主主義を否定するつもりは全くないが、喧噪(けんそう)の中で決めてほしくない。(7月29日、都内でのシンポジウムで)

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