2019年1月24日(木)

下河辺・東電次期会長、弁護士仲間はこうみる
「事業再生に手腕」「調整型の経営者に」

2012/4/19付
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原子力損害賠償支援機構の下河辺和彦運営委員長が東京電力会長に就任する見通しとなった。弁護士出身の下河辺氏は、ライフや大成火災海上保険など倒産金融機関の再建で辣腕を振るった実績を持ち、弁護士仲間は「事業再生で先進的な手腕があり、危機に動じず、きっちり仕事をこなすタイプ」と話す。経営者になった場合は調整型になるとの声もある。

東電新会長の就任要請を受け入れ、記者団の質問に答える下河辺氏(19日)

東電新会長の就任要請を受け入れ、記者団の質問に答える下河辺氏(19日)

下河辺氏は2011年5月、「東京電力に関する経営・財務調査委員会」の委員長に就任。東電の資産評価と徹底した経費の見直しを進めてきた。日本弁護士連合会副会長を務めた経験もある事業再生の専門家だ。日本経済新聞の取材に対し、下河辺氏は19日「市井の弁護士として、舞い込んだ案件を粛々とこなしてきただけ」と話すように、実務重視の堅実な仕事ぶりだ。

もともとは刑事事件の国選弁護士からキャリアを開始。バブル崩壊後の金融システム不安が顕在化した1990年代後半からは、当時の所属事務所が担当した日本リース、ライフ、大成火災海上保険といった会社更生案件の管財人などを務め、企業再建分野で実績を積んできた。

自宅前で取材に応じる下河辺和彦氏(19日午前、静岡県熱海市)=共同

自宅前で取材に応じる下河辺和彦氏(19日午前、静岡県熱海市)=共同

「債権処理などで創造的な手法を編み出し、事業再生を成功に導く手腕がある」(倒産法制に詳しい坂井秀行弁護士)。ライフの会社更生案件では、小口のローン債権を証券化して外資系証券会社の特別目的会社(SPC)に譲渡。売却で入った資金を速やかに債権者への弁済に回した。坂井弁護士は「再生案件で、債権の証券化という思い切った手段を取り入れたのは初めてだろう」と指摘する。

「熱血漢タイプではないが、危機に動じず、公正な判断ができる」(事業再生が専門の清水建夫弁護士)、「債権者の金融機関側ではなく、債務者である企業の生命力を生かそうという姿勢の持ち主」(別の専門家)といった声も多い。下河辺氏は、中小企業の債務整理に関する調停委員を務めた際、社内規定を盾に債権の全額回収を主張する金融機関を説得。その中小企業の再生に道筋をつけたこともある。仕事で関わった経験のある弁護士らは「企業経営の実態を理解し、再建に導く資質を備えている」と口をそろえる。

「寡黙にきちんと仕事をする人柄。マネジメント能力は未知数」(日本弁護士連合会幹部)という。弁護士業界では幹部として細かな調整を積み重ねてきた下河辺氏だが、今後は政府、電力会社、原発事故被害者や電力利用者など複雑に絡み合った利害を調整していく手腕が問われる。

(法務報道部 渋谷高弘、瀬川奈都子、八十島綾平)

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