日本経済「7~9月に回復」 本社景気討論会

日本経済新聞社と日本経済研究センターは15日午後、東京・大手町の日経ホールで景気討論会を開いた。出席者からは今後の日本経済について、消費増税の影響は限定的で、景気は7~9月期には回復に向かうとの声が聞かれた。年率換算で5.9%増となった1~3月期の実質国内総生産(GDP)速報値は、想定より高い成長率との見方が相次いだ。
出席者は鈴木敏文セブン&アイ・ホールディングス会長兼最高経営責任者(CEO)、早川英男富士通総研経済研究所エグゼクティブ・フェロー、熊谷亮丸大和総研執行役員チーフエコノミスト、岩田一政日本経済研究センター理事長。司会は近藤勝義日本経済新聞社東京本社編集局長。
熊谷氏は「消費増税の影響は限定的で、7~9月以降に景気は戻ってくる」との見方を示した。内閣府が15日発表した1~3月期の実質GDP速報値が年率換算で5.9%増となったことを「前向きに評価できる内容だった」と指摘。特に設備投資が4.9%増えた点は「ウィンドウズXP」のサポート終了による買い替え需要という特殊要因を踏まえても「しっかりとした動きをしてきた可能性がある」との見方を示した。
岩田氏も、1~3月期GDPで設備投資が「予想以上に増えている」と評価した。併せて、総合的な物価動向を示すGDPデフレーターが前年同月の値と並びマイナス圏を脱したことも「評価したい」点として挙げた。GDPの結果は市場予想を上回る内容だったが、この日の株式相場が下落した背景は「(日銀による)追加金融緩和の可能性がなくなるとの見方が広がったのでは」と分析した。4~6月期のGDPについては、内閣府の統計である景気動向指数が急速に落ち込んでいることから「やや警戒すべきだ」との見通しも示した。
早川氏は「もともと消費増税で景気が腰折れするとは思っていない」と語り、今後の日本経済について「4~5月は落ち込みが避けられないが、6~7月に戻り、落ち着いてくるかが重要な点だ」との見方を示した。消費増税について「最初は(消費増税前の)駆け込み需要の影響は分からなかったが、時間がたつにつれて、影響が大きかったことが分かった」とも述べた。
鈴木氏も消費増税について「現場では、最初は駆け込み需要がそんなに大きくないのではとの見方をしていた」と述べる一方、「駆け込みは3月に入って、特に後半にかけて大きくなってきたのが現実だった」と振り返った。前回の消費増税時と比べ「例えばスーパー、コンビニ、百貨店を比較すると、97年のときと今回と、それぞれそんなに大きく違っていない」とも話した。〔日経QUICKニュース(NQN)〕