2018年8月22日(水)

ドキュメント東京市場 日銀、市場と駆け引き
株安・債券高

2011/3/14付
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 東日本巨大地震を受け、14日の東京市場は終日重苦しい空気に包まれた。投資家のリスク回避姿勢は一段と強まり、株安と債券高が進行した。日銀は大規模な資金供給と追加緩和を相次ぎ発表したが、市場の先行き警戒感を払拭するには至らなかった。日経平均株価の大引け前週末比633円94銭(6.18%)安の9620円49銭、円相場は乱高下した末、午後3時ごろは82円台前半で推移した。

 この日は午前7時半すぎから市場に緊張感が走った。シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の先物市場で日経平均先物6月物が9600円台に急落。早朝の外国為替市場では円相場が一時、約4カ月ぶりとなる1ドル=80円60銭近辺まで急伸したほか、商品市場では原油先物が時間外取引で1バレル100ドルを割り込んだ。

 「日本株を買い増していた海外投資家はリスク回避目的の売りに転じるかもしれない」(外資系証券トレーダー)。関係者の不安が次第に募る。

 寄りつき直後からトヨタやソニーといった主力株は軒並み売り気配。東電やJR東日本など大地震の影響を大きく受ける銘柄にも売り注文が殺到した。損失回避に走る投資家の姿を象徴したのは、TOPIX先物へのヘッジ(損失回避)の売り。9時5分に制限値幅に抵触し取引の一時停止措置である「サーキットブレーカー」が発動された。

 対照的に有事の際に比較的安全性の高い資産として意識される債券にはマネーが流入。債券先物6月物は1カ月半ぶりに140円台に乗せ、10年物国債利回りも低下基調を強めた。加えて商品市場ではガソリンは期近4月物が急伸し、サーキットブレーカーが発動された。「コスモ石油の千葉製油所で発生した火災が供給不安につながっている」(キャピタル・アセット・マネジメントの岡橋雅雄調査部長)。

 この日は、「懸念を募らす市場」と「不安感を払拭しようとする日銀」の駆け引きが続いた。日銀は9時1分に昨年5月以来となる資金の即日供給を通知。規模は7兆円と過去最大で「朝方からコール市場や債券レポ市場では取引が成立しにくくなっていた。市場の不安心理の払拭を狙った」(金融市場局)。さらに10時半と午後12時50分にも供給し総額は15兆円に達した。1日の供給総額としても過去最高となった。金融政策決定会合の日程を14日の1日に短縮したうえ開始時刻も12時に前倒しを決定した。

 10時2分に関東地方で地震が発生。日経平均先物に売り注文が出て日経平均も9700円台に再び下げを拡大した。アジア市場にも地震の余波が及ぶ。「日本の投資家による資金の本国回帰が香港株の売り圧力になる」(群益証券)との懸念から上海や香港は続落して始まった。

 東証の午前の取引終了直後の午前11時過ぎ。「福島原発3号機で水素爆発」と伝わると緊張感がピークに。ヘッジ売りが強まると大証の日経平均先物は再び9500円を割り込んだ。

 政府は原発の爆発について「格納容器は健全」と発表したものの、投資家の「安全資産への逃避」に拍車をかけた。午後の取引に入り、10年物国債利回りは一段と低下、約1カ月ぶりに1.2%を割り込んだ。株式市場では日経平均が下げ足を速め、一時は661円安の9593円まで下落した。

 午後2時48分。安値圏で膠着感が強まっていた中、日銀が追加緩和に踏み切った。資産買入額を当初の35兆円から40兆円へ増額。中でも上場投資信託(ETF)は4500億円増やすとした。日銀の決定を好感し、日経平均先物には買い戻しが入り9600円台前半まで値を戻した。

 ただ、為替・債券市場の反応は限定的。日経平均も大引けにかけて再び下げ幅を拡大した。「地震による被害額が判明するのはこれから。経済活動の下押し圧力としてどの程度、働くか見通しがたたず買いは入れられない」(日興コーディアル証券の小林久恒国際市場分析部部長)。

 午後3時。東証1部の売買高は48億株を上回り過去最高となったが、「値動きの激しさを狙った回転売買が中心」(国内証券)といい、目立った押し目買いは入っていないという。東証1部の時価総額は昨年12月以来となる300兆円割れ、日経平均の下落率は過去20番目の大きさだった。

 市場のムードに改善が見られない中、東証の取引終了後に日経先物が下げ足を速めた。9430円を付け午前中につけた日中安値(9450円)を下回った。日銀の追加緩和が材料の出尽くし感を誘ったうえ、一段安の展開に投げ売りも出たという。「まだ下げ止まったとは言えない」(国内投信大手)――。張り詰めた緊張感が緩む気配が見られないまま大地震後の初日の取引を終えた。〔日経QUICKニュース〕

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