2019年1月24日(木)

欧州危機「極めて不確実性高い」 前田氏
日経景気討論会

2012/1/12付
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日本経済新聞社と日本経済研究センターが12日午後開いた景気討論会では、欧州経済について債務問題の長期化を背景に厳しい状況が続くとの見方が大勢を占めた。

日本銀行調査統計局長の前田栄治氏

日銀の前田栄治調査統計局長は、欧州経済について「欧州危機がどう収束するのか極めて不確実性が高い。これを解決するには問題のある国で財政構造の改革や産業競争の実現などをどうしても進める必要があり、時間がかかる」と指摘した。そのうえで「対応に時間がかかる間に危機が現実のものとならないように欧州各国が取り組まなければならないが、欧州安定メカニズムを前倒しでやったり財政均衡ルールを決めるなど少しずつではあるが対応は進んでいる。政治対応がしっかり信認を得られれば危機の収束は可能とみており、強い意志で迅速に対応してほしい」と述べた。

新日本製鉄の三村明夫会長は「この10年くらい金融が主役となり経済全体を引っ張り、それがリーマンショックの発生につながったが、欧州の金融機関は(不良債権を)まだ4割しか処理していない。ある国にとっては緩和的な政策がいくつかの国で生じ、EU(欧州連合)の通貨同盟の基本的な欠陥を露呈した。EU自体をどう運営するのか極めて基本的な課題にぶつかっている。きっちり解決しない限りは日本の失われた10年を繰り返す可能性がある。危機は長期化するのはないか」と懸念を表明した。

みずほ総合研究所の高田創チーフエコノミストは「欧州の問題は序の口とみている。今年の成長率はゼロ均衡でみているが、金融財政面から暗い状況であると考えると、金融市場が待ってくれないリスクがある」と指摘。そのうえで「この問題をどう乗り切るかというと非常に綱渡りの状況で、ユーロがかなり下落するリスクがあるのではないか」との見方を示した。

日本経済研究センターの岩田一政理事長は「欧州圏は第4四半期から景気後退に入っているとみている。ヨーロッパのエンジンであるドイツがマイナス成長になったことを考えると、大変厳しい」と指摘した。そのうえで「今回の危機がリーマンショック後の不良債権処理を十分に解決しないうちに起こったことが問題。欧州の金融機関は東欧諸国やラテンアメリカに貸し出しがあり、いま売却(回収)を始めているが、うまくやらないと世界的な危機になる可能性がある」と述べた。〔日経QUICKニュース〕

前田栄治氏(まえだ・えいじ) 1985年東大卒、日本銀行入行。2006年調査統計局参事役、09年金融機構局参事役。10年政策委員会室秘書役、11年調査統計局長。

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