米財務長官「財政の崖乗り越えられる」
都内で講演
米国のガイトナー財務長官は11日に都内で講演し、所得税などに対する大型減税が年末に失効する「財政の崖」について、世界各国が直面している財政状況に比べれば「乗り越えられる障害だ」との認識を示した。財政の崖を迎える時期を先延ばしにする政策は無責任だとし、財政再建の必要性を強調した。
「財政の崖はバランスの取れた財政を慎重にデザインするのに良い機会だ」。ガイトナー財務長官はこう語り、財政再建への取り組みに意欲を見せた。政府債務を持続可能な水準にまで引き下げ、インフラや教育に投資ができる余裕を持たせることが求められる基本的な戦略だとした。
米国の金融システムについては「(2008年の)経済危機が起こる前と比べ確実に安全になった」と述べた。米国をはじめ世界経済が被った経済的なダメージの大きさにもかかわらず、レバレッジ規制などの改革が順調に進んでいることを評価した。
欧州債務問題に関しては、欧州安定メカニズム(ESM)が設立されたことで、スペインやイタリアなどの国々は数カ月前と比べ回復力が増したとの考えを示した。「ESMは欧州中央銀行(ECB)による南欧国債の購入策と相互に補完的な役割を果たし、欧州各国の長期にわたる政治的な改革が容易になるだろう」と述べた。〔日経QUICKニュース(NQN)〕
関連キーワード