11月の街角景気、4カ月ぶり改善 気温低下と円安で好転
内閣府が10日発表した11月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、足元の景気実感を示す現状判断指数は前月比1.0ポイント上昇の40.0と、4カ月ぶりに改善した。気温低下で冬物衣料の売れ行きがよかった小売業や、円安で収益の改善期待が高まった製造業を中心に景況感が好転した。
先行き判断指数は0.2ポイント上昇の41.9と、7カ月ぶりに改善した。もっとも、依然として雇用情勢が厳しいうえ、日中関係の悪化で観光業などの苦戦が続いている。内閣府は基調判断について、前月の「さらに弱まっている」から「引き続き弱い」への表現変更にとどめ、判断自体は維持した。
家計の動向に関しては「初雪は遅れたものの、その後の冷え込みで冬物衣料の売り上げが急速に回復している」(北海道の百貨店)、「鮮魚・生肉、加工食品の鍋物、冬物商品がよく売れている」(東海のスーパー)との指摘があり、気温低下が追い風になったことがうかがえた。
企業動向については「海外部門は円安により採算が好転している」(四国の一般機械器具製造業)との声が聞かれた。半面、旅行関連は「尖閣問題以降、中国からの観光客が全く来なくなり厳しい」(九州の観光型ホテル)という。先行きについても「円安傾向で輸出が増えることを期待しているが、国内出荷が低迷しているため、売り上げの増加は期待できない」(南関東の輸送業)と厳しい見方が少なくない。
雇用情勢を巡っては「電子機器企業がリストラを実施している」(東北の民間職業紹介機関)、「製造業を中心に人員整理が発生した」(四国の職業安定所)と懸念する声が多かった。
衆院解散・総選挙についてのコメントもみられた。「宴会等が多忙の12月に総選挙が予定されており、飲食・宿泊ともに収入面で打撃を受ける」(中国の都市型ホテル)、「政治がどのように変化するかは不明だが、その後数カ月で景気が改善する施策が打てるとは思えない」(東海の百貨店)という。
調査は景気に敏感な小売業など2050人が対象。3カ月前と比べた現状や2~3カ月後の予想を「良い」から「悪い」まで5段階で評価して指数化する。今回の調査は11月25日から月末まで。〔日経QUICKニュース(NQN)〕
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