永井野村HD最高経営責任者「直接金融も活用を」(金融力シンポ)
野村ホールディングスの永井浩二最高経営責任者(CEO)は3日午後、「ニッポン金融力会議」のプロジェクト、第1回トップ・シンポジウム「次を創る金融へ」(主催・日本経済新聞社)で講演した。国内の投資家と企業をつなぐ金融の役割は「間接金融だけでは足りず、グローバルベースの高い金融サービスへの需要が高まっている」と指摘した。「間接金融と直接金融がバランス良く実体経済を支えることが重要だ」と訴えた。
リーマン・ショックの震源地である米国や、債務問題に揺れる欧州よりも日本の株式相場は低迷している。この背景には「金融が機能を果たしていない、ということもある」との見方を示した。企業が自ら成長領域をみつける時代には、リスクマネーを供給できる直接金融の活用が本来必要だと分析した。
国内の個人は老後の資産形成が課題になっている。機関投資家は世界経済の成長が鈍化する中で、従来の指数連動型から絶対収益志向へと投資スタイルが変化してきた。このため「投資信託や派生商品、代替資産などへの需要が高まっている」指摘した。半面、中小企業などを含めた国内企業は海外進出などグローバル化が浸透し、リスクマネーの供給が必要になっている。こうした動きに間接金融だけでは対応できなくなっているという。
また、人口が減少する日本だけでは成長に限界が見えていることから、「アジアを消費市場ととらえ、アジアと日本の市場を一体的に考えることも必要だろう」とみる。野村グループは1982年に外資系投資銀行として中国に初めて駐在員事務所を置いたほか、70年に設立したタイの現地法人は現在では上場企業になった。ベトナムではハイフォン市と合弁して工業団地を整備し、日系企業の進出を支援したと、アジアでの施策を説明。その上で「アジアに立脚したグローバル金融サービスグループを目指す」と強調した。
質疑応答で「リーマン買収は成功だったのか」との質問には「(業績面から)成功していると言い張るつもりはない」としたうえで「買収しないと分からないことも多かった」と応じた。海外顧客の増加や、取り扱ったM&A(合併・買収)の案件も増加し、国際的な知名度は向上したと効果を説明。「グローバル化の旗は降ろさない」と改めて述べた。〔日経QUICKニュース(NQN)〕
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