FOMC東京市場の見方 影響は限定的か

2012/8/2付
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米連邦準備理事会(FRB)は1日まで開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で追加金融緩和を見送った。東京の株式・外国為替・債券市場の関係者に相場への影響について聞いた。

■株、影響は中立・三浦氏

三浦豊・みずほ証券シニアテクニカルアナリスト 米連邦準備理事会(FRB)の追加金融緩和見送りは想定通りという印象だ。今後は景気悪化なら追加緩和の方向性も示し、将来の緩和には含みを持たせる結果となったので株式市場への影響は中立だろう。欧州中央銀行(ECB)理事会に対する見極めムードも強く、きょうの東京株式市場で日経平均株価は8550~8700円の値幅でもみ合う公算が大きい。対ユーロの円高は引き続き相場の重荷になろう。

ECB理事会については欧州金融不安に対する政策について目立った発言が出ておらず、当初よりは期待が後退しているようだ。

■株、日本株への売り圧力は限定的・馬渕氏

馬渕治好・ブーケ・ド・フルーレット代表 前日の米連邦公開市場委員会(FOMC)における追加金融緩和の見送りを受けた、きょう2日の日本株の売り圧力は限定的だろう。一部にあった緩和期待の後退が米ダウ工業株30種平均の下落につながったものの、ECB理事会や米雇用統計の発表を控えていることもあり、今回で思い切った緩和に踏み切るとの見方は少なかった。次回のFOMCに向けた追加緩和期待は当面の株価を下支えする公算が大きく、日本株にとっては外国為替市場でややドル高・円安に振れたことも追い風だ。きょうの日経平均は横ばい、もしくは小幅安も底堅く推移しそうだ。

ただし、世界的な株高基調が定着するには金融緩和だけでなく、世界景気や企業収益の改善、欧州債務問題の解決が必要だ。足元の国内決算はやや不振が目立ち、積極的な買い手掛かりは乏しい。8月の株価は下振れ懸念こそ乏しい一方、上値の重さも目立つ展開となる公算が大きい。

■株、ある程度織り込み済み・田部井氏 円高一服が下支え

田部井美彦・かざか証券市場調査部長 米FRBが金融緩和を見送ったことが前日の米株安につながったが、前日に日経平均株価は反落しており、ある程度織り込んでいたようだ。このところ前日のシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の日経平均先物の清算値にさや寄せする形で始まることが多く、きょうも8670円付近で始まるだろう。その後はECB理事会の結果を見極めたいとして買い控えが強まり、8670円から上下50円程度の範囲でもみ合いと見ている。

金融緩和による株価上昇というシナリオの実現は遠のいたが、円相場が対ドルで若干弱含んでいることは日本の輸出関連株の下支えとなりそうだ。

■円、意外感なく底堅い・久保氏 緩和余地残る

久保信明・ブラウン・ブラザーズ・ハリマン・インベストメント・サービス外国為替部バイスプレジデント 米FRBが1日まで開いた米FOMCで金融政策の現状維持を決めたが、意外感はなかった。一部の市場参加者の間では緩和期待があったようで、米市場では株式相場がやや崩れ、米国債も売られた。日米金利差が拡大したことで、外国為替市場では円売り・ドル買いが優勢になったようだ。

FRBは米景気認識を引き下げており、緩和余地は残ったとみている。一方で、追加緩和策が失業率の改善措置として効かないことも分かってきたのではないだろうか。景気が一段と悪化した場合の最後の手綱として緩和策を残し、次回9月のFOMCで緩和する可能性は高そうだ。

欧州の債券市場では南欧諸国の国債利回りが低下しており、2日のECB理事会に向けて国債買い入れ策の再開などの期待感がやや強まっている。だが、欧州安定メカニズム(ESM)に銀行免許を付与するなど、そこから先の枠組みはすぐに出てこないだろう。

2日の東京外国為替市場で円相場は1ドル=78円台半ばを中心に底堅い展開を見込んでいる。ECB理事会を控えて動けないだろう。

■債券、影響は限定か・末沢氏 QE3はハードル高い

末沢豪謙・SMBC日興証券金融市場調査部長 米FRBが1日まで開いた米FOMCで追加金融緩和を見送ったことは予想通りだった。米雇用環境を確認し、欧州のECB理事会の結果を見極めなければ、FOMCメンバー内で反対意見のある緩和策を容易に打ち出すことはできないからだだ。大きな政策の変更もないため、FOMCを受けて国内債券市場への影響は限定的だろう。

次回9月のFOMCでも量的緩和第3弾(QE3)導入のハードルは高いとみている。景気浮揚効果に対する懐疑的な見方が出ているうえ、共和党は量的緩和策に否定的だ。今年は米大統領選が控えるため、選挙の決着が付くまで金融政策の大きな変更はやりにくい。次回FOMCでは景気判断を一段と引き下げた場合、金融緩和の時間軸の長期化や住宅ローン担保証券(MBS)の追加購入で対応するのではないか。

市場関係者の視線は、米金融政策よりも2日のECB理事会に向かっている。債券市場では様子見気分が強まり、極端に国債利回りが低下する展開はみられないだろう。来週は日銀政策委・金融政策決定会合が開催される。ECB理事会の内容次第では、日銀は円高対策を迫られることになる。

〔日経QUICKニュース(NQN) 尾崎也弥、古門成年、椎名遥香、南毅郎、江村英哲〕

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