日銀短観、景況感プラス4 11年3月以来の高水準
6月調査 大企業製造業
日銀が1日発表した6月の企業短期経済観測調査(短観)は、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が大企業製造業でプラス4となった。3月の前回調査(マイナス8)に比べて12ポイント改善。2期連続で改善し、2011年3月調査(プラス6)以来の高水準になった。
今回の調査は日銀が4月4日に量的・質的金融緩和を導入した後では初めて。円安や株高の基調が定着し輸出企業を中心に景況感が改善したほか、米景気回復の足取りが力強さを増したことが下支え材料になった。
業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いた値。調査期間は5月28日~6月28日。5月下旬の株価の急落や長期金利の上昇など金融市場が不安定になった時期に重なった。
6月の大企業製造業のDIはQUICKがまとめた市場予想の中央値(プラス3)を上回った。3カ月先については、大企業製造業がプラス10になる見通し。市場予想の中央値(プラス7)を上回った。
2013年度の事業計画の前提となる想定為替レートは大企業製造業で1ドル=91円20銭と3月調査(85円22銭)より円安・ドル高方向の水準に設定された。
業種別では、自動車や鉄鋼、機械など幅広い業種で改善した。円安や米経済の回復を背景にした輸出の回復が背景にある。
内需関連業種の景況感は底堅さを増している。大企業非製造業のDIはプラス12と、前回から6ポイント改善。リーマン・ショック前の08年3月調査(プラス12)以来の高水準になった。3カ月先のDIは横ばいのプラス12を見込む。建設や不動産は財政支出の拡大や金融緩和といった「アベノミクス」の恩恵を受けた。2014年4月に予定されている消費増税を前にした住宅の駆け込み需要が盛り上がっていることも、不動産などの景況感改善につながった。
中小企業は製造業が5ポイント改善のマイナス14、非製造業が4ポイント改善のマイナス4だった。〔日経QUICKニュース(NQN)〕